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【MLB】ドラフト会議カ月前の集団見合い「ドラフトコンバイン」

 

2度目の開催となったドラフトコンバイン。このイベントで新しい才能が見出されることもあり、選手にとっても各球団のスカウティングを肌で感じ取ることができる。両者にとってメリットが大きいイベントだ。今後、さらなる発展が見込まれそうだ[写真は2021年ドラフト時]


 6月15日から18日、サンディエゴのペトコ・パークで「ドラフトコンバイン」が開催された。7月に行われるMLBのアマチュアドラフト前に、対象選手250人余りが集まり実技を披露、球団首脳と面談を行った。

 昨年のノースキャロライナに続く2度目で、まだ歴史の浅いイベントである。選手をスカウトする機会としては学校の公式戦に加え、大学生ならサマー・リーグ、高校生ならショーケースの試合を全米各地で開催しているが、ドラフト直前に一堂に会することができるのは双方にとって便利であり、野球ファンにとっても魅力的なショーになりうる。

 昨年の参加者は150人だったが、今回は250人と約100人増えている。面談の場所はペトコ・パークのスイートルーム。球団からすれば、くつろいだ雰囲気でヒザを交えて話すことで、選手の人柄などメンタル面をより知ることができる。

 一方選手も、複数の球団のGMやスカウト部長と情報交換することで、チームによって運営や育成方針に違いがあることを理解できる。加えてケガをしている個所はないかなどフィジカルを会場で受けた選手は、ドラフトで指名されたときに、指名順位で定められたスロットマネーの75パーセントの金額が保証されることになった。

 過去には指名後のフィジカルで故障が発覚し交渉が決裂したり、大学4年生については球団の低目の提示額を呑まないと独立リーグくらいしか行き場がなく、交渉で不利だったため、今回70〜75パーセントの参加者が受けている。

 球団側にとっても、ドラフト前に体の状態が分かるのは大いに助かる。ブルペン投球で株が上がったのは短期大学でプレーしていたジェイコブ・ミシオロースキー投手。真っすぐは参加投手の中で一番速い100.7マイルで、回転率も最多の2816回転だった。ケガ、新型コロナ禍による試合の減少、短大出身ということで、スカウトになかなか見てもらえなかったのが、格好の舞台でアピールできた。

 フロリダの高校生でスィッチピッチャーのジュランジェロ・シアンティも注目を集めた。右で96マイル、左で92マイルを計測。体は小さくおそらく大学に進学するのだが、将来が楽しみだ。ちなみに全体一位指名候補ドリュー・ジョーンズ外野手は参加しなかった。

 ブレーブスで活躍したアンドルー・ジョーンズの息子で、6月4日にトップ指名権を持つオリオールズに招待され、本球場カムデンヤードで実技を見せた。ロッキーズで活躍したマット・ホリデイの息子、ジャクソン・ホリデイ内野手も来なかった。ちなみにプロフットボールのNFLは1985年からスカウトコンバインを開催、カレッジフットボールのスター選手が集まり、メディアの注目度は高く、テレビ中継も視聴率が高い。

 MLBのドラフトコンバインも将来的にトップ選手が全員集まるイベントになると思う。今回もMLBネットワークがテレビ中継し、17日は一般のファンを球場に入れ8000人が集まった。日本でも開催を考えてみればと思う。甲子園のスターが集まり、各球団の運営や育成方針にスポットが当たり、誰を指名すべきか議論に花が咲く。ファン必見のイベントになる。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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