週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

西武のエース右腕にメジャーが注目 「黒田博樹と重なる」と高評価が

 

心身共にタフになった背番号13


試合終盤まで球威が衰えない力強いピッチングが持ち味だ


 西武は球界を代表するエースを輩出してきた歴史がある。東尾修渡辺久信(現西武GM)、工藤公康(元ソフトバンク監督)、西口文也(現西武ファーム監督)、松坂大輔涌井秀章(現中日)、菊池雄星(現ブルージェイズ)……。そして現在、球界を代表するエースへの階段を駆け上がっているのが高橋光成だ。

 かつて、エースと呼ばれる投手たちは試合の最後まで投げ切る光景が日常だった。分業制が確立した現代野球で完投数が減っているが、高橋はリーグトップの4完投をマーク。昨年はゼロで、プロ8年間でも計5完投だったことを考えると、心身共にタフになったことを証明している。4完投の中身も濃い。7月16日の日本ハム戦(ベルーナ)で4安打完封勝利を飾ると、25日のロッテ戦(ベルーナ)でも129球の熱投で5安打に抑え、2試合連続完封勝利。30度を超える猛暑の中で最後まで投げ切ることは白星をもたらすだけでなく、救援陣の負担を軽減できる点でも貢献度が大きい。

 今月1日のソフトバンク戦(ベルーナ)ではパ・リーグ記録の3試合連続完封はならなかったが、7回4安打無失点の快投で8勝目。8日の日本ハム戦(エスコンF)は初回にマルティネスの中犠飛で26イニングぶりの失点を喫したが、2回以降は立ち直り、8回4安打2失点で9勝目を挙げた。

非常に高いプロ意識


 昨年はリーグトップの26試合に先発登板して12勝8敗、防御率2.20をマーク。金色の長髪という派手な風貌で誤解されがちだが、野球に取り組むプロ意識が非常に高い。昨年9月に週刊ベースボールのインタビューで、「今年からマットレスを変えましたね。あとは、寝る前になるべくスマホをいじらないように。結構攻めて(笑)、自分の中では思い切ったことだったんですけど最近、アイフォンを手放してガラケーっぽいのにしました。勇気がいることでしたけど、なるべくアイフォンから離れたほうがいいのかな、と。そういう環境にしたらスマホを見ている時間が本を読む時間やストレッチをする時間に変わったりしたり。いい時間の使い方ができるようになりましたね」と明かしている。

 また、「去年は(余裕を持ってマウンドに上がることを)意識してやっていたんですが、今年は無意識でそういうことができるようになった感じです。余裕を持つことが当たり前になってきている。ピンチの場面ではキャッチャーが構えたところに思い切り、ミスなく投げ込むことだけを考えています。『絶対に抑えてやろう』と意気込むと空回りをしてしまう。僕の場合は力んでキャッチャーが構えたところより1個、中に入るなどしてしまう。だから、ピンチになったときに一歩、引く。余裕を持って、冷静になっているから、力まずに投げるという思考回路になっていると思います」と自己分析していた。

体が丈夫で、肩肘に少ないケガ


 高橋は昨オフの契約更改で、将来的なメジャー挑戦をしたい意向を球団に伝えたことが明らかになり、話題になった。

 外国人選手の代理人を務める関係者は「体が丈夫で、肩肘に大きなケガがない。日米通算203勝をマークした黒田博樹さんと重なりますよね。先発ローテーションで1年間計算ができることが大きな魅力です。投球の質も高く、スライダー、フォークに加えて左打者に食い込むカットボールも効果的です。メジャーでも先発で2ケタ勝てる力が十分にある」と太鼓判を押す。

 今季19試合登板で9勝6敗、防御率1.98。山本由伸(オリックス)という高い壁を越えなければいけないが、高橋も投手タイトルを総ナメにできる実力を持っている。リーグ優勝は厳しくなったが、CS進出に向けてまだまだ戦いは続く。投げる試合はすべて勝つ気概で残りのシーズンを駆け抜ける。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング