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【高校野球】低反発バットも使いこなす二松学舎大付高・片井海斗 勝負強い打撃でチームをセンバツへ押し上げる

 

「勝ちたい気持ちを前面に」


二松学舎大付高の三番・片井は東京大会1回戦で3安打5打点。写真は3回表、左中間への適時二塁打でガッツポーズを見せた


[秋季東京都大会]
10月10日(江戸川)
二松学舎大付高15−8駒場学園高
(7回コールド)

 二松学舎大付高が駒場学園高との東京大会1回戦を15対8の7回コールドで勝利した。

 高校通算41本塁打の三番・一塁の片井海斗(2年)は3安打5打点の活躍を見せた。

「勝負強い打撃。ホームランより打点を意識している」と語るように、3安打(左中間二塁打、中越え二塁打、右前打点)はいずれも適時打で、好機で集中力を研ぎ澄ませた。

 2022年夏の甲子園2回戦(対社高)でソロアーチ。1年生四番のアーチは史上3人目の快挙で、以降も右の長距離砲として注目を集めてきた。2年春のセンバツにも出場。今夏は東東京大会3回戦で敗退し、同校として21年夏からの5季連続甲子園出場を逃した。

 片井は最上級生となった今秋の新チームで副将となり「強い気持ちで、勝ちたい気持ちを前面に出す」をテーマに、とにかく結果にこだわってきた。一次予選の代表決定戦では、帝京高との強豪対決を7回コールド(8対0)で制して、本大会へと駒を進めた。

 来春のセンバツ選考への資料となる東京大会まで約3週間。二松学舎大付高は練習試合で、2024年シーズンから導入される低反発バットを使用してきた。二松学舎大付高・市原勝人監督は、その理由を明かす。

「対戦相手校さんは、すでに秋の公式戦を終えていて、(来春に向けて)低反発バットを使用されており、ウチが従来のバットを使うのは『反則だろう』と判断したんです」

 低反発バットは「芯に当たらないと飛ばない。芯を外した打球はかなり失速し、内野守備がカギを握る」という意見が一般的だ。

パワー+柔らかさ


適時打を放った3回表、無死一、三塁からの右犠飛で、ヘッドスライディングで生還した。完全にセーフのタイミングだったが、片井は「たかぶっていたので」と気迫を前面に出した


 とはいえ、パワーあふれる片井には、無縁だった。市原監督によれば、すでに低反発バットを使用した練習試合6戦で2本塁打(左越え、中越え)を記録しているという。

 今後について、市原監督は「木製バットのほうがしなり、さらにはうまくヘッドを利かせられる選手は、低反発バットよりも、打ちやすいかもしれません。高校野球は経済的な問題があり、難しいと思いますが、将来的には木製バットを選択する選手が出てくるかもしれません」と、展望を語った。

 1回戦で従来のバットを持った片井の打撃を見た市原監督は「軽いので、かみ合わないのでは……」と心配したほど。片井は圧倒的なパワーの一方で、柔らかさも兼ね備えており、市原監督の言う「対象者」に該当する。

 片井本人は「芯に当たれば、変わらない。十分、飛距離も出る」と意に介さない。とにかく「今のチームで(来春の)センバツに出たい」と意気込む。2回戦(10月14日、八王子)では日大三高との対決が控える。

「全員で一戦一戦、目の前の試合に気持ちで勝つ」

 この日の1回戦は二松学舎大付高が5対0とリードした4回裏、一度は逆転(5対7)を許したが、最後は地力の差を見せている。市原監督は「大会ですから、勝てば次がある。今日出た課題を、修正していきたい。ウチは未成熟。一生懸命やるだけ」と言葉を選んだ。試合後は球場外で、入念な選手ミーティング。勝ったからこそ、反省する。二松学舎大付高は、攻守にスキのない野球を目指していく。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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