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【大学野球】どんな役割も喜んで受け入れる法大のリリーバー塙雄裕 後輩に多くの財産を残す献身的な姿勢

 

通算36試合で先発は1試合のみ


法大のリリーバー・塙は早大2回戦で今季10試合目の登板。打者2人を抑え、きっちりと仕事を果たした[写真=矢野寿明]


[東京六大学秋季リーグ戦第6週]
10月15日(神宮)
早大10−1法大(早大2勝)

 この秋、11試合中10試合に救援登板。法大・加藤重雄監督が最も信頼を寄せるのが、右腕・塙雄裕(4年・常総学院高)である。早大2回戦では1対5とされた5回表一死一、二塁から二番手でリリーフし、後続2人を抑えた。5回裏に塙に代打が出たため、この日は5球で役目を終えた。塙が早大打線に勢いを食い止めたのも束の間、法大は三番手以降の投手陣が打ち込まれ、1対10で大敗した。

 塙は勝ち試合だけでなく、劣勢の展開でもスタンバイ。回またぎでの救援、ワンポイント、ロングリリーフと何でも喜んで受け入れる。

「鍛えている選手は、壊れるものではない。最近はノースローを設ける投手が多い傾向にある中でも、塙は一番、練習する。社会人で野球を続けるので、体のことを気にしないといけないですが、試合の流れの中で信頼度の高い者から使っていくとなると、その結果、毎試合、出してしまっている(苦笑)。今どき、流行らない監督です」

 加藤監督は自虐気味に話したが、信頼の証し、精神安定剤なのだ。

 常総学院高時代から佐々木力元監督の指示により毎日、ブルペンで投げ込んでいた。高校3年間の下地が、塙の投球を支えている。これまで通算36試合に登板しているが、先発したのは、3年春の明大3回戦のみ。3年時は先発へのこだわりがあったというが、最終学年になって以降は「頼もしい先発陣がいるので、そこまでは考えていないです」と、毎試合ブルペンで調整し、自らの立場をまっとうすることにやりがいを感じている。

 この日は冷たい雨が降り注ぎ、東京の最高気温は18度と肌寒かったが、塙のこだわりという、半袖のアンダーシャツで力投した。

「寒いです(苦笑)。長袖もありますが、あの感じが嫌なので……」

 法大は早大戦で連敗して、リーグ優勝の可能性が消滅した。残るは、第7週の明大戦だ。

「ラストのカードなので、勝ち点を取って終われたらいいです。もちろん、残り全試合、投げる準備をします」(塙)

 チームのために、腕を振る。背番号13の献身的な姿勢は、後輩たちに多くの財産を残す。

文=岡本朋祐
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