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首都大学リポート

東海林航介が4打数4安打の大当たり 東海大が城西大に勝利し1勝1敗の五分に戻す【首都大学リポート】

 

手に入れた新しい野球観


城西大2回戦で4安打を放った東海大・東海林航介


【10月21日】一部リーグ戦
東海大9−0城西大
(1勝1敗)

 秋季首都大学リーグ第8週1日目。第1試合で筑波大が桜美林大に敗れ、日体大の3連覇が決まった。第2試合にはここまで5勝7敗、勝ち点2の東海大が登場。

 リーグ戦上位2チームが出場できる関東地区大会への道は閉ざされたが、先勝を許した城西大との2回戦で意地を見せた。この試合で「四番・右翼手」として先発出場し、初回に先制適時打を放ったのが東海林航介(4年・星稜高)だ。

 星稜高では奥川恭伸ヤクルト)、山瀬慎之助巨人)らとともに活躍。甲子園には2年春から4季連続で出場し、3年夏は準優勝。俊足巧打の一番打者として全国に名を馳せた。

 東海大での1年目はコロナ禍で満足にプレーできなかったが、2年生になると井尻陽久監督が就任。「それまで経験したことのない新しい野球観を教えてもらいました」と大きな刺激を受けた。

 特に印象に残っているのが送球について。「それまではとにかく思い切り投げていたのですが、井尻監督から『8割の力でいいからタッチしやすいところへ投げるように』と言われました。また、『練習時間は短くして効率良く。試合をしている時間は2時間半から3時間くらいなので、この時間を集中してプレーできるように』といったアドバイスが毎日のようにあり、すごく新鮮でした」。

 昨年はスイング改造に着手。オリックス杉本裕太郎の打ち方を参考にしたという。「見た目はアッパースイングだと思うのですが、自分ではダウンスイングくらいの意識で振っています」。春季リーグ第5週の桜美林大戦では満塁本塁打を記録するなど、この試合だけで6打点をマーク。チームのリーグ優勝にも貢献した。

卒業後は社会人野球へ


 最上級生となった今季は副主将となり、明るい性格でチームをけん引する。しかし、1月中旬から腰を痛めて春季リーグ戦は1試合も出場できず。チームも最終戦まで残留争いをするなど低迷した。そこで、バントにも積極的に取り組むなど、この秋はこれまでより深く考えて野球をするようになったという。

 また、打撃も変わった。「上からボールをたたいて低いライナーを打つようにしています。今後、上のレベルでやっていくにはこの打ち方がいいと思ったので今年の夏から、昨年とはまったく逆のことを意識している」と話す。秋季リーグ序盤は結果が出なかったが、前週の城西大1回戦では「練習通りに打てました」と自身リーグ2本目となる本塁打を放った。

 迎えた城西大2回戦。四番に座った東海林は「ランナーを進めて、自分も生きる打撃を心掛けました」と、初回に右翼へ先制適時打。その後も勢いは止まらず、2打席目は左翼へ安打。さらに四球を挟んで中前打と投手強襲の安打を放ち、4安打の大当たり。チームも9対0の大勝で城西大を退け、対戦成績を1勝1敗のタイとした。

 大学卒業後は社会人でプレーを続ける東海林。「高校の同級生や後輩がプロになり『自分も』と思っていました。その希望はかないませんでしたが、2年後のプロ入りを目指して頑張ります」。

 井尻監督も「東海林はバッティングが柔らかいし、走ることも守ることもできる。ケガがなければもっとできたかもしれませんが、これから進んでいく道を自分の力で正解にしてほしい」と言葉をかけた。

 東海林も「いい報告ができるように頑張りたい」と意気込む。そして、大学で野球に打ち込んだ日々を「新しい自分に出会えた4年間」と振り返った。恩師と出会い、新しい野球観を身につけ、そして故障も乗り越えた、東海林の今後に注目したい。
文&写真=大平明
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