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攻守で精彩欠き途中交代…阪神日本一へ、「佐藤輝明が攻守のキーマン」の指摘が

 

第1戦では隙を突く盗塁


日本シリーズ第4戦の7回、三塁守備で失策を犯した佐藤輝


 日本シリーズでオリックスと激闘を繰り広げている阪神。11月1日の第4戦(甲子園)は3対3の9回一死満塁で四番・大山悠輔が三遊間を抜けるサヨナラ打。対戦成績を2勝2敗のタイに戻した。

 今回のシリーズは、予想外の試合展開で第1戦(京セラドーム)が幕を開けた。村上頌樹とオリックスの絶対的エース・山本由伸の投げ合いで投手戦が予想されたが、阪神打線が5回に4得点、6回に3得点と山本に集中打を浴びせて6回途中7失点KO。大量得点の口火を切ったのが、佐藤輝だった。0対0の5回無死一塁で中前打を放つと、ノイジーの初球で二盗を敢行。見事に成功し、山本は虚を突かれた表情を浮かべた。一死三塁と好機をつくり、渡邊諒が先制の中前適時打。この得点で試合の流れをグッと引き寄せた。

 近本光司中野拓夢、大山悠輔ら主力が並ぶ打線の中で、今後に大きな伸びしろを期待できるのが佐藤輝明森下翔太だろう。佐藤は7月終了時点で打率.220、12本塁打、47打点と好調の期間が長続きしなかったが、8月以降は打率.330、12本塁打、45打点をマーク。広角に長打を連発し、ボール球に手を出す悪癖が消えていた。

シーズン後半に打撃上昇


 野球評論家の廣岡達朗氏は週刊ベースボールのコラムで、「佐藤輝明も優勝を前にして、ここぞの場面で値千金の一発を放つようになった。前半から不調が続き二軍落ちも経験。先日対談した落合博満は『バットが少し遠回りする』と指摘していた。今岡真訪打撃コーチも一生懸命に教えていたと思うが、ここにきてエンドランで球を当てるように、どんな球でも打ちにいくようになった。自分の形にとらわれてはいけない。形だけできれば何でも打てると思ったら大間違い。崩されるのを恐れるな。そのことを本人も理解したのではないかと思う。佐藤輝が打ったら阪神は手がつけられない。貴重な選手である」と評価している。

 他球団の首脳陣も、「これまでは差し込まれたり泳いだりしていたけど、自分の力が伝わるポイントをつかんだように感じる。直球をきっちりはじき返せるようになったし、変化球も下半身の粘りで拾えるようになり、ヒットゾーンに飛ばせるようになった。夏場以降の打撃を1年間で切れば、来年は打撃タイトル争いに絡んでくるでしょう。今回の日本シリーズでもポイントを握る選手」と分析する。

リーグで2番目に多い失策


 佐藤輝が打つとチームが活気づく。それはデータにも表れている。今季チームトップの24本塁打を放った試合の戦績は15勝6敗1分と大きく勝ち越した。

 期待の大きさゆえに、求める水準も高くなる。廣岡氏は「ひとつ注文を付けるとすれば、守備がヘタになったことだ。雑になった。ルーキー時代に外野手からたまに三塁を守ったときは、目の覚めるようなスローイングといい、見どころがあった。岡田監督が就任して三塁に固定したため『分かっているな』と思ったが、慣れというのは怖い。まだまだ勉強の余地はある」と指摘した。

 昨年は三塁と外野を守っていたが、三塁に固定された今季は20失策。村上宗隆(ヤクルト)の22失策に次ぐ多さだった。阪神は強力な投手陣を中心にディフェンス力を重視していることから、失策を半分以下に減らしたいところだ。

 この日本シリーズでは第4戦に手痛い失策が。3対1と2点リードの7回に先頭打者・廣岡大志の三ゴロをはじき、同点に追いつかれるきっかけをつくってしまった。イニング途中で桐敷拓馬から石井大智にスイッチする際、打順の兼ね合いで佐藤輝は途中交代に。打撃でも3打席連続三振。4打数無安打3三振に終わった第3戦に続き、快音が聞かれなかった。

 佐藤輝が復調すれば、得点力が一気に上がる。日本シリーズで攻守のキーマンになることは間違いない。

写真=BBM
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