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巨人退団の中田翔 「山川穂高と遜色ない評価」で複数球団の争奪戦に

 

契約破棄で自由契約を選択


巨人から新天地を探し求めることになった中田


 球界を代表する両主砲が野球人生の岐路で、対照的な決断を下した。

 西武山川穂高は自身の不祥事が大きく影響して今季17試合の出場にとどまったが、故障者特例措置で取得したFA権を行使。推定年俸2億7000万円のAランクで獲得球団に人的補償を求めることが可能になる。一方で、巨人・中田翔はFA権を行使せず、複数年契約の解除を申し入れるオプトアウトを選択。昨オフに3年契約を結んでいたが、中田サイドが1年ごとに契約を見直すことができる内容となっていた。

「FAを決断しなかったのは年俸3億円で人的補償がかかるため、他球団が獲得しづらいと考えたのでしょう。大幅減俸を覚悟の上で出場機会を望んでいるという強い意志が感じられます。巨人であと2年はプレーできますが、岡本和真が一塁で固定されることになり、出場機会が少なくなる可能性が高い。他球団ならレギュラーで十分に活躍できます。一塁でゴールデン・グラブ賞を5度獲得するなど守備能力も高い。山川と遜色ない評価で複数球団による争奪戦は間違いないでしょう」(スポーツ紙デスク)

打撃フォームを改造して


 中田翔の野球人生の分岐点は昨年の6月だろう。春先から打撃の状態が上がらず、打率.215、5本塁打、20打点で同月6日に登録抹消に。無償トレードでシーズン途中に移籍した21年も34試合出場で打率.154、3本塁打、7打点とふるわず、同年オフに体重を20キロ増の110キロ前後に増やす肉体改造をしたが結果を残せない。日本ハムで打点王を3度獲得し、侍ジャパンで四番を張った強打者は崖っぷちに追い込まれてプライドをかなぐり捨てた。

 ファームで打撃フォームの大幅改造に着手。長嶋茂雄終身名誉監督の助言を受け、スクエアから左足を少し開いた構えのオープンスタンスに。前傾姿勢でバットを短く持ち、スイング軌道も変わった。ボールを内側から叩くイメージでバットを縦に入れることで体の開きを抑え、面を返さずにすくい上げるように打つ。

 メジャーの長距離砲の間で流行していた打法で、中田はこの打法の精度を磨くことで打撃が見違えるように変わった。

 他球団のスコアラーはこう証言する。

「以前ならファウルにしていた内角の厳しい球を、身体の内側から巻き付くようなスイングでライト前に運ぶ。ああいう打撃をされたらアウトに仕留めるのが難しい。コンタクト率が格段に上がったことに加え、飛距離も伸びている。今年は5月に右太もも裏の肉離れで離脱しましたが春先から五番で好調だったので、四番の岡本和真が勝負を避けられなかった。ケガがなかったらタイトル争いに絡んでいたと思いますよ」

一塁を固定できていない球団は多い


 中田がスタメン出場を熱望する一塁を固定できていない球団は多い。貧打が深刻な中日が獲得に前向きな姿勢を示しているほか、パ・リーグもロッテ楽天が一塁を守る和製大砲が補強ポイントになっている。

 中田は巨人の球団公式サイトを通じ、「今の自分は、打席に立ち続けたい、グラウンドに立ち続けたい、その気持ちで一杯です。そのようなチャンスをいただけるお話があれば有難いです。また、プロ野球選手としての私のキャリアを理解し、温かく応援してくださった皆様への感謝の気持ちを胸に、グラウンドでの全力プレーを1年でも長くお見せしたいです」とコメントを発表した。

 野球人生は道半ば。応援してくれるファンのためにも、新天地で進化した姿を見せる。

写真=BBM
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