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守備力は門脇誠に匹敵? 巨人の新戦力に他球団から「欲しかった選手」の声が

 

高校では「黄金世代」の1学年上


NTT西日本から巨人へドラフト4位で入団した泉口


 巨人の内野陣は一塁・岡本和真、三塁・坂本勇人、遊撃・門脇誠をレギュラーで起用することを阿部慎之助監督が明言している。二塁は吉川尚輝が最有力だが、当確ランプはともっていない。中山礼都北村拓己ら虎視眈々とレギュラー奪取を狙う中、競争に割って入る新加入の即戦力野手がいる。ドラフト4位で入団した泉口友汰(NTT西日本)だ。

 他球団の編成担当はドラフト後にこう語っていた。

「泉口の守備はプロですぐに通用する。能力の高さで言えば門脇に匹敵するレベル。送球が安定しているので安心して見られる。上位指名ではなかったが、獲得を狙っていたチームは多いと思う。正直欲しかった選手です」

 大阪桐蔭では根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)、柿木蓮(日本ハム)、横川凱(巨人)らタレントがそろう「黄金世代」の1学年上。3年春のセンバツで全国制覇を飾った。根尾が遊撃のスタメンで出場し、控えに回ることが多かったが守備能力は屈指だった。3年夏の甲子園はベスト16で敗れたが、「8番・遊撃」で全3試合に出場して7打数5安打の大当たり。下位打線の核になった。当時2部リーグ所属だった青学大に進学すると、長打力に磨きをかけてクリーンアップに定着。3年秋に打率.343、1本塁打、9打点の活躍で1部昇格に大きく貢献。MVPに選出された。NTT西日本でも社会人野球を代表する遊撃として評価を高め、プロ入りを決めた。

門脇の「35」を継承


 身近なお手本がいる。本職は遊撃で同じドラフト4位入団と共通点が多い門脇だ。遊撃には不動のレギュラーとして15年以上守り続けた坂本勇人がいた。門脇は三塁、二塁とさまざまなポジションで高い守備能力を発揮。7月中旬まで打率1割台と打撃面は試行錯誤を重ねていたが、原辰徳前監督は我慢強く使い続けた。その期待に応え、夏場以降は打率が一気に上昇。8月に月間打率.339をマークすると、9月上旬に坂本が三塁にコンバートされ、遊撃の定位置をつかんだ。126試合出場で打率.263、3本塁打、21打点、11盗塁をマーク。オフに背番号を「35」から「5」に変更することが決まった。背番号「35」を継承することになったのが泉口だ。

 もちろん、吉川から二塁のレギュラーを奪取することは容易ではない。泉口は守備能力の高さがセールスポイントだが、吉川も巧みなグラブさばき、広い守備範囲、球際の強さで守球界を代表する二塁の守備職人だ。走攻守でアピールしなければ、高い壁を乗り越えられない。

忘れられない試合


 泉口は高校時代に忘れられない試合を経験している。春夏連覇を目指した3年夏の3回戦・仙台育英戦。1対0の9回に二死一、二塁で飛んできた遊ゴロをさばいて一塁に送球したが、一塁手・中川卓也の足がベースを踏み外してセーフに。二死満塁のピンチで次の打者にサヨナラ逆転打を浴びた。

 泉口は週刊ベースボールの取材で、「右の打球だったので、そのときの判断として一塁送球。ところが、一塁を見ると中川がベースに入っていない。『これはセーフになるな……』とは思いましたが、途中で止めるわけにもいかない」と振り返り、「一塁手の中川は二塁送球と判断したのでしょう。事前にそういうプレーもあると、お互いの気持ちがマッチできなかった。そこが、ツメの甘さです。細かい部分を埋めたからこそ翌年、後輩たちは連覇を遂げることができた」と語っていた。

 アマチュアの名門を渡り歩いてきた華々しい経歴だが、1球の怖さを誰よりも体感している。野球の技術だけではない。精神的な強さも兼ね備えている泉口に要注目だ。

写真=BBM
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