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【高校野球】センバツ一般選考の東海地区で「逆転現象」 選考ガイドラインにのっとって総合的に評価

 

さまざまな視点の選考ポイント


大阪市内で行われた選抜選考委員会。地区別小委員会での議論を経て、選考委員会総会[写真]で出場校が発表された[写真=BBM]


 第96回選抜高校野球大会の選抜選考委員会が1月26日、大阪市内で行われ出場32校(一般選考枠30校、21世紀枠2校)が決まった。2024年はセンバツの第1回大会から100年、甲子園球場100周年という節目である。

 一般選考枠の選出における、最大のサプライズは東海地区だった。2022年に続いて「逆転現象」が起きたのである。

 今大会から出場枠の見直しで、東海地区は1枠増の3校。1校目は昨秋の東海大会優勝校・豊川高(愛知)が順当に選ばれた。驚きは次、である。

 昨秋の東海大会4強の宇治山田商高(三重)が2校目、準優勝・愛工大名電高(愛知)が3校目となった。選考委員によれば、優勝した豊川高と両校の対戦が「争点」となった。ともに1点差で敗退したが、その「内容」が問われたのである。

 宇治山田商高は準決勝を、2点リードの9回裏にサヨナラ負け(5対6)。「終始互角。投手力、守備力が評価された」(選考委員)。一方、愛工大名電は前半に大量失点した0対8から7対8と猛追したが、あと一歩、及ばなかった。実績においては、決勝進出を遂げた愛工大名電高のほうが上。ヒヤヒヤの選出となっている。

 22年は東海地区の出場枠は2校だった。準優勝・聖隷クリストファー高(静岡)が漏れ、準決勝敗退の大垣日大高(岐阜)が逆転選出。この選考結果には、多くの反響があった。

 大会を主催する毎日新聞社と日本高野連は同年7月の「センバツ改革検討委員会」で、出場校を選ぶ際の「選考ガイドライン」を策定(大会理念を明示する要綱も同時に発表)。昨年の第95回記念大会から適用された。

「大会理念」にはこうある。

「センバツに予選はない。都道府県高等学校野球連盟が校風、品位をも勘案して候補校を推薦し、選考委員会が秋季大会での試合結果および試合内容をもとに出場校を選考する。大会開催は日本学生野球憲章が示す『学生野球の基本原理』にのっとり、野球を通じてフェアプレーの精神、友情、連帯をはぐくむことを目的とする」

 選考ガイドラインでは大会理念の基本原則を示す一方で、細部まで記載があった。「秋季大会の試合結果、試合内容をもとに評価する。その割合は同程度とし、総合的に判断する」「試合内容については、投手力、打撃力、守備力、機動力など技術面のみならず、作戦の徹底、創意工夫、粘り強さといった試合運びや、フェアプレー、マナー、きびきび、はつらつとした動きといった野球に取り組む姿勢のほか、戦力のバランスやチームの潜在能力、大会を通しての成長ぶり、チームワークなども評価の対象とする」。さまざまな視点の選考ポイントが明記されている。

「選考ガイドライン」にのっとった選考は2年目。東海地区の「逆転現象」も、総合的に評価されたもの。東海地区の出場枠が昨年までの「2」だったらどうなっていたのか。「3」に増枠されたからこその結果だったかもしれないが、仮定の話はできるはずもない。

 センバツは予選(地方大会)を勝ち上がった学校が出場する夏の「選手権大会」ではなく、あくまでも主催者側が選ぶ「招待大会」という認識を、あらためて理解する必要がある。

文=岡本朋祐
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