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【大学野球】「チーム宗山」を側面からバックアップする明大・福嶋学生コーチ 人のために汗を流し部運営の中核を担う

 

チームの浮沈を左右する存在


明大・福嶋学生コーチは故障をきっかけに、大学3年から裏方に転身した[写真=田中慎一郎]


 明大は2月14日、静岡・沼津キャンプをスタートさせた。昼前に東京から現地入り。午後1時からウォーミングアップ、アジリティトレーニング、キャッチボール、ノック、フリー打撃で約3時間30分、汗を流した。

 活動拠点である愛鷹球場を動き回っているのが、福嶋耕学生コーチ(4年・明大中野高)だ。2020年から母校を指揮する田中武宏監督の『右腕』で、主将・宗山塁(4年・広陵高)と首脳陣をつなぐパイプ役でもある。グラウンドにおけるすべて掌握する裏方の存在が、チーム浮沈を左右すると言っていい。

「今キャンプの目的は、チーム力向上。学生なので本分は学業。1月末まではテストがあり、全体練習ができませんでした。2月に入り、ようやく本格的な強化期間が始まりました。参加選手は40人。残っているメンバーでもリーグ戦を戦えるほど、チーム内で激しい競争が展開されています。コンディションによっては、東京残留組との入れ替えもあると聞いています。今年も4年生を中心に、チームをつくっていきたいと思っています」

 明大中野高では外野手としてプレーし、最上級生では副将を務めた。明大には外野手として入部も、2年時に右肘を痛めた。

「治療する選択肢もあったんですが、より、チームに貢献することを考えた末、学生コーチへの転身を決断しました。自分のほうから田中監督に手を挙げさせてもらいました。昨年1年間は熱田泰祐さん(学生コーチ)の下で学び、神宮でもベンチ入りを経験しました。監督が何を考えているのかを、先回りして、意向に沿って動くように心がけています」

 主将・宗山を支えていくのも、最大の役割だ。

「22年の主将・村松さん(村松開人中日)の代で、上下関係について見直し、最上級生が率先して動く形にしたんですが、やや下級生の緊張感がなくなってしまったのが事実です。そこで、昨年の主将である希由翔さん(上田希由翔ロッテ)が方針を転換し、今年は宗山がバランスの良い構図にしています。宗山は1年春から出場し、両方を経験していますので、どういう環境を作れば、下級生も生活しやすいか、プレーしやすいか理解している。さじ加減が難しいんですが、風通しのいいムードです」

当たり前のことを当たり前にできる集団


練習中は選手をサポート。昨年は神宮のリーグ戦でベンチワークを学び、今年は三塁コーチに立つ予定である[写真=田中慎一郎]


 宗山は侍ジャパントップチームに選出され、2024年ドラフトにおいても「超目玉」と言われている遊撃手だ。東京六大学では3年秋までに94安打。年明けからの注目度は相当であり、キャンプ初日にもテレビ5社を含む10社以上の取材陣がキャンプ地に殺到した。

「宗山は選手として、レベルが違います。言うまでもなく、経験が豊富であり、考え方も自分たちよりも先を行っています。言動に芯があって、ストイック。信頼が厚いです」

 さらに、続ける。

「丸山さん(丸山和郁ヤクルト)、村松さん、希由翔さんと比べても、マスコミさんの数はケタ違いです。騒がれ方も異なりますし、その上で、宗山は結果が求められている。しかも、部員100人以上を束ねる主将。どれだけ、負担を軽減できるか。チーム宗山の考え、方針をいかに体現できるか。明治は野球以前に寮生活の安定が根底にあり、徹底力を磨いています。誰にでもできることをしっかりやる。寮生活での積み重ねに、グラウンドでは全力疾走、カバーリングなど、当たり前のことを当たり前にできる集団を目指しています」

 2024年の「チーム宗山」を、側面からバックアップする福嶋学生コーチ。身を粉にして人のために汗を流し、部運営の中核を担う。

文=岡本朋祐
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