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冷静と情熱の野球人 大島康徳の負くっか魂!!

大島康徳コラム「清宮幸太郎にとって勝負の1年になります」

 

今年もケガで出遅れる可能性が出てきた清宮。もったいない!


 先日、金田正一さんのお別れの会に行ってきました。大勢の方に愛され、尊敬された、偉大な方でいらしたことをあらためて感じました。

 年齢を重ね、一人また一人と大切な人を見送ってきました。悲しいし、寂しいですが、それで自分の人生が終わったり、止まったりするわけではありません。どんなときでも朝が来て、また、夜が来ます。おなかもすくし、眠くもなります。

 僕は、兄を若くして見送り、その数年後には父を見送り、長生きしてくれた母を見送り、そうやって歳を重ねてきました。家族を見送ってあげること、大切な方を見送ってあげること、家族や大切な方と一緒に生きた日々に心を寄せて、感謝し見送ってあげること。それが、残された者の役割だと思っています。

坂本の守備に物足りなさも


 では、すっかり恒例となった(?)「ポジション別に大島が挙げる2020年期待の選手編」に移りましょう。1回で終わらすつもりが、いつの間にか3回目になってしまいました。さすがに今回が最終回です。

 まずは内野のラストポジションのショートです。攻守の総合力では、巨人坂本勇人で間違いありません。31歳にして早くも2000安打が近づき、ショートで40本塁打は史上2人目らしいじゃないですか。すごいとしか言いようがない。ただ、残念なのは1人目が、あのバカ、いや、愛すべき竜の大砲・宇野勝だったことです。85年、僕もドラゴンズにいたときですが、確かに、あいつは41本を打っていました。僕だって最多は36本なのに、ちょっと悔しかった。まあ、通算では僕のほうが上だからよしとしておきましょう(僕が382本、宇野が338本)。

 ただ、僕は坂本の守備について、そこまで高い評価はしていません。ヘタではありませんよ。あれだけの長身でよく動くし、スローイングも正確です。ただ、“すごみ”を感じないんですよ。昔のショートの名手というのは、本当に“蟻(あり)地獄”のような鉄壁のエリアを持っていました。そこに打球が転がったら走っても無駄みたいな。

 阪神藤田平さんがそうでしたね。難しいコースの打球を軽々とさばいてアウトにしていました。ただ、天才肌でもあったこの人は、見切りが早かった。無理だと判断した打球は追いもしませんでした。

 あそこまでは難しいかもしれないけど、ソフトバンク今宮健太西武源田壮亮のほうが守備では上だと思います。特に源田ですね。あの守備範囲の広さは魅力です。逆に打力は物足りないのですが、守備に関しては、まだうまくなりそうな気がします。さて“埼玉の蟻地獄”になれるかどうか(なりたくないか)。

 次世代の期待となると広島小園海斗でしょう。彼は体が強いし、あの態度がいいじゃないですか。本当のところは知りませんが、「俺はプロで10年メシ食ってますよ」みたいな雰囲気がある。昨年の一軍経験も、大きなプラスになっていると思います。ただ、首脳陣からしたら、田中広輔の調子が戻ってきたらどうするかはある。佐々岡真司監督も悩むでしょうね。実績もあるし、力的には、まだ田中が上ですからね。

鈴木誠也はすごい!


 外野手は、これまでなら西武の秋山翔吾DeNA筒香嘉智と名前を挙げていたのですが、2人ともメジャー入りしました。秋山はレッズですか。日本人では初ですから新鮮ですね。彼はメジャーの投手が投げ込むインコースの強い球をどうさばくかでしょう。外寄りの球を逆方向というのは、すぐにできるでしょうが、徹底してインコースを狙われたら少し苦しむかもしれないですね。僕は、それよりレイズに行った筒香のほうが少し心配です。ホームランバッターとして期待されての入団だと思いますが、果たして、すぐ応えられるか。守備に課題があるだけに、打たなきゃ使ってもらえない。今のフォームではインコースに絶対に差し込まれます。どう修正していくかでしょうね。

 ただ、秋山、筒香が日本球界に残っていたとしても、僕は今、最高の外野手であり、もっとも期待する外野手として、広島の鈴木誠也を挙げます。バッティング、守備、走塁、すべてにおいて素晴らしい選手になりました。

 一番いいな、と思うのは、打席での見逃し方です。ボールを追いかけない。時には見送り三振でも、知らんぷりをして帰ってくるでしょ。あれは捨て球を決めているからです。バッターは捨てるボールがないと絞り込めません。ヒットメーカー的な役割ならまた違いますが、彼は四番ですからね。風格も出てきたし、プレミア12のような相手の情報が少なく、緊張した雰囲気の中でも、いつもどおりの打撃ができるのも頼もしい。東京オリンピックでも日本の四番としてやってくれると思いますよ。あとは、ソフトバンクの柳田悠岐かな。昨年は故障もあって悔しいシーズンだったと思いますが、どう巻き返してくるかですね。

 では、最後に今までパッとしなかったが、2020年に出てきてほしい選手を挙げてみます。

 一番は、プロ3年目、日本ハム清宮幸太郎です。また、故障してしまいましたが、あれだけ騒がれて入って、高い能力もあるのに、少し出て6、7本ホームランを打ってケガをしてを繰り返しています。このあたりで悪循環を止めないと。

 そのためにも、もっともっとバットを振らなきゃいけないでしょう。多少、遠回りに思えても、下半身を鍛え、バットを振りながらケガをしない強い体をつくるしかない。その意味では、われらがガッツ、小笠原道大がコーチで入ったのは清宮にとってもよかったと思います。彼は、そうやって強い体をつくり、あれだけの成績を残した男です。いわば“生きた教科書”ですからね。

 球界の新陳代謝は早い。いつまでも“ホープ”と待ってはくれません。僕は、清宮にとって今年が勝負の年だと思います。

 次回は、ドラゴンズの先輩・高木守道さんについて書いてみます。

PROFILE
大島康徳/おおしま・やすのり●1950年10月16日生まれ。大分県出身。右投右打。中津工高からドラフト3位で69年中日入団。3年目の71年に一軍初出場の試合で本塁打を放つ。76年にはシーズン代打本塁打7本の日本記録。翌77年に打率.333、27本塁打の活躍で不動のレギュラーとなり、79年にはリーグ最多の159安打、36本塁打、リーグ3位の打率.317の大活躍。83年には36本塁打で本塁打王にも。88年に日本ハムへ移籍、90年には史上最多の2290試合を要して2000安打に到達した。94年限りで現役引退。2000年から02年まで日本ハム監督も務めた。現役通算成績2638試合、2204安打、382本塁打、1234打点、88盗塁、打率.272。

関連情報

中日、日本ハムで主軸打者として活躍し、日本ハムでは監督も務めた大島康徳氏が自らの一風変わった野球人生を時に冷静に、時に熱く振り返る連載コラム。

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