週刊ベースボールONLINE

三浦大輔の「Hit it! If you can.」

三浦大輔コラム 今週のテーマ「配球ノウハウ」

 

ツーシーム、シュート系のボールを巧みに使った広島・野村&石原バッテリーの配球には感心させられた/写真=佐藤真一


人間同士の駆け引きが配球の最大の醍醐味


■神経を遣う初球の入り

 投手のタイプはいろいろあります。150キロの速球をバンバン投げ込む剛腕もいれば、キレのある変化球でバットに空を切らせる奪三振王もいます。自分が現役だったころ、勝負球にできるほどストレートに球速はなく、絶対的なウイニングショットも持ち合わせていませんでした。だからこそ、頭を使った。いろんな球種を駆使して、どんなボールでもカウント球にしたし、勝負球にも使いました。つまり「配球」で勝負していました。今回は、投手の打者に対する投球の組み立てである「配球」がテーマです。

 よく「配球に正解はない」と言われます。そんな雲をつかむような問題に対して、何を基準にし、どう正解を導き出すのか──。まず簡単に言ってしまえば、結果的に打者を抑えればそれが正解と言われます。打者の反応を見て、どう攻めていくのか。試合の序盤、中盤、終盤と状況によっても考え方は変わってくるし、点差、イニングによっても違います。ほかにも、球場に吹く風なども考慮して、その場面、場面でベストなボールを選択する。

 手持ちのカードは何枚もあります。「打者から一番遠いストライクから入る」「インコースのボール球から入る」「変化球で空振りを狙いにいく」「変化球でファウルを打たせる」などの選択肢から1球を選ぶわけです。例えば「必ず振ってくる」と感じれば、わざとストライクからボールになる変化球を投げてみます。

 過去の対戦を振り返り、打者の傾向をつかむことも大切です。「初球の入りが一番難しい」と言われる理由は、打者の反応を見ることができないからです。1球投げれば、その反応で組み立てがしやすくなる。ところが初球はそれができない。特に1巡目の初球は難しい──立ち上がりは難しいとなります。初回にボールが続き四球になると、慎重になり過ぎだ、と言われる。逆にストライクを先行させた結果、連打を浴びれば、丁寧に投げなさい、となる。本当に難しい世界です。

 しばしば質問されるのが「0ボール2ストライク」からの攻め方です。自分が中学や高校のときは・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

自分が現役生活で得た経験、そしてユニフォームを脱いで“外”から眺めた野球界について、感じたことを発信していきます。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング