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斬り込む自在の野球論 川口和久のスクリューボール

川口和久コラム「つまらなかったら、このコラムすぐやめるよ!?」

 


セの“台風の目”は糸井嘉男


 いよいよシーズンが開幕したね。今回は4月5日時点の原稿だけど、セ・リーグでは、オープン戦では、まったく打てずに最下位だった巨人が開幕から5連勝。WBC組の坂本勇人が加わっただけで、まったく違うチームになったね。

 昨年王者の広島は4勝1敗。今年も打線が好調で、タナキクマル(田中広輔菊池涼介丸佳浩)、鈴木誠也が打ちまくっている。ただ、開幕カードの阪神3連戦[マツダ広島]は泥試合だったな。特に2戦目の4月1日は、延長10回で両チーム合わせて28四死球。プロとして情けない限りだよ。

 一番フラストレーションがたまったのは、タイガースファンじゃないかな。3戦で残塁が14、17、10でしょ。「どないなっとんや!」って、悲痛な叫びが聞こえてきそうだよ。

 しかも、3戦目は昨年2勝しかしてない九里亜蓮ごときに完ぺきに抑え込まれてるしね。いやいや、冗談、“ごとき”じゃないよ。九里は俺と同じ鳥取出身で、彼が中学のときから知ってるんだ。今年のキャンプでも少し話をしたんだけど、手ごたえがあったんだろうね、「今年は先発でやりたいです」ってきっぱり言っていた。九里の勝利は、俺も本当にうれしかったよ。

 ただ、これからとなると、俺は阪神が面白いなって思っている。たぶん、大部分の人が、今年は巨人、広島の優勝争いを予想してると思うし、俺もそれは否定しない。けど、台風の目になりそうなのが、2年目の金本知憲監督の阪神、というより、移籍した糸井嘉男だと思うんだ。

 キャンプでは故障もあって、マイペース調整だったし、「ほんとに仕事するのかよ」って思ったけど、ふたを開けたら、すごい。結果だけじゃなく、内容だよ。

 開幕戦では、広島のジョンソンのアウトコースのストレートを左中間に二塁打、インコースの難しい球を一塁線にタイムリーにしていた。ジョンソンは負け投手にはなったし、調子は決してよくなかったけど、指でしっかりボールをたたいて、球自体の力はあった。それを左対左なのに、インコースもアウトコースもしっかりとらえたんだからね。

 糸井は少しオープンの構えからインコースもさばけるし、距離がとれるアウトコースは、しっかり踏み込みながら柔らかいスイングで左中間方向に打てる。振るというより、振りながら押し込む感じなんだ。セにはいないタイプだね。セ出身の投手としては悔しいけど、パ・リーグのいい投手をしっかり打ってきたからだろうね。エース級はともかく、セの少し力の落ちるピッチャーなら・・・

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川口和久のスクリューボール

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広島、巨人で活躍した川口和久氏が独自の視点でプロ野球に斬り込む連載コラム。

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