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斬り込む自在の野球論 川口和久のスクリューボール

川口和久コラム「監督の抗議もグラウンドの華?」

 

審判に猛抗議する広島・緒方監督。かなり感情的になっているようにも見えた/写真=佐藤真一


2つのジャッジで流れが…


 広島の勢いが少し止まって、セ・リーグが混戦になってきたね。

 セは全チームが防御率2点台後半から3点台前半でしょ。紙一重で勝負が決まる試合が、それだけ多いということだよね。野球は、投手陣さえしっかりしていれば大崩れはしない。前回も書いたとおり、これからも、ちょっとしたことで流れが変わっていくと思うよ。

 広島は阪神DeNAヤクルトと3カード連続で負け越しちゃった。DeNA戦は初戦に逆転サヨナラ勝ちと、いいスタートを切りながら、2試合目4月19日は今永昇太に1安打完封負け。その後も、ちょっと引きずっている。ずっと、いい方向にばかり回っていたのが、ずっこけたからね。長引くことはないと思うけど、いまは「あれ、こんなはずじゃ……」って感じじゃないかな。

 その“ずっこけ”を生んだのが、19日の2つのジャッジさ。

 最初は6回裏一死走者なしから田中広輔の遊ゴロ。あれは完全にセーフだよね。ただ、緒方孝市監督は、ものすごい顔で審判に迫りながら、意外とすんなり帰った。

 次は7回裏二死一、二塁の大事なポイントで、小窪哲也の遊ゴロ。今度は際どいタイミングだったけど、やっぱりセーフに見えた。当然、緒方監督が出てきて、長い抗議の後、暴言で退場となった。

 あれを見て、俺は2つ思った。

 1つめは、最初の抗議のこと。あんなにすっと引き揚げたのは、緒方監督が何か激しい言葉を発したからだと思うんだ。それだけで退場になりそうな言葉ね。そうじゃなきゃ、もう少し長く抗議したんじゃないかな。自分でも「やばいな。熱くなり過ぎ」と感じたんだと思うよ。

 俺は「ああいうときはポツリと言うくらいでいいのにな」と思った。得点が絡んだわけじゃないし、審判も人間だからね。案の定、2つめのジャッジさ。あのとき審判に感情が入ってたという意味じゃないよ。ただ、そういう流れになることって、野球には多いんだ。

 怒らないで読んでほしいんだけど、もう1つは・・・

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川口和久のスクリューボール

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広島、巨人で活躍した川口和久氏が独自の視点でプロ野球に斬り込む連載コラム。

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