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広島OBが語る「今年の広島カープが強打を誇る理由」とは?

 

ともに汗を流してきたからこそ、強豪となったチームへの喜びはひとしだ。2014年に引退した球宴のスペシャリスト・横山竜士氏と、16年に引退した15打席連続出塁の日本記録保持者・廣瀬純氏。両者に“強力”広島打線に関して語り合ってもらった。

究極的に嫌なバッターである三番・丸


広島OBの横山氏(左)と廣瀬氏


廣瀬 野手はやっぱりタナキクマル(田中広輔菊池涼介丸佳浩)の活躍が大きいですね。3人での点の取り方の速さ。いやらしいバッティングをするし、進塁打で最悪でも二塁に送ったり、役割をすごく理解しています。流れをすごく作ってくれていますよね。ただ、その中で菊池がちょっと、状態が今一つですけど。

横山 WBCの影響なのか、開幕から出遅れた感はあったよね。

廣瀬 ありましたね。体重も減ってしまったみたいですし。

横山 シーズン中でも見ていて痛々しいくらいに足を引きずって走っていたこともあった。

廣瀬 菊池が出場しないときに守備が崩れて負けてしまった試合を見ていると、菊池の守備力は大きいとあらためて感じます。

横山 攻撃でも、昨季のいいときなら田中が塁に出ると、右打ちで一、三塁にしてクリーンアップに回していたんだけど、それと比べると一、二、三番のつながりは弱いかな。だけど、丸がそれ以上にすごかった。

廣瀬 ランナーを置いてからのバッティングが良くなったのは、タイミングの取り方を変えたからだと思います。相手投手がセットポジションの場合、昨季よりも手の位置を上げてトップを早く作っている。それはキャンプ中から取り組んでいましたね。ヒッチさせる場所を状況によって変えている。無走者用とランナーがいるとき用のバッティングを使い分けているし、タイミングが合わないときは無走者でも早めに始動したり、柔軟に対応しています。6月16日のソフトバンク戦(マツダ広島)ではレフトに3打席連続本塁打を打ちましたし、反対方向への打球がすごく伸びるようになりましたよね。

横山 ピッチャーから見ると、丸は究極的に嫌なバッターだよ。ボール球は振ってくれない。甘い球はミスショットをしない。長打はあるし、塁に出れば足がある。本当に気の抜けない三番だと思う。打線の調子が上がらなくても丸だけは勝負強い打撃をしていたから。

意識が高く、貪欲で、負けず嫌いな鈴木誠也


日々の鍛錬を欠かさない鈴木


廣瀬(鈴木)誠也が四番に座る中で、丸が打ってくれることによって負担はだいぶ減っていると思います。やっぱり三番が打てないと四番が、となる。

横山 誠也の前後のバッターがしっかりしているから、四番の重圧というものは軽減されているだろうね。昔の新井(貴浩)なんて、打てないとたたかれまくっていたから。今は後ろの新井や安部(友裕)、松山(竜平)が打ってくれる。誠也はチャンスで打てないとものすごい表情をしているけどね。本人は納得いっていないだろうけど、肩にのしかかる重さはまだそれほど大きくないんじゃないかな。

廣瀬 誠也はバッティングに関して言えば理想がものすごく高い。今も「ほめないで、けなしてください」と言うから、なるべくほめないほうがいいんじゃないかな、と思っています。でも、昨年の1月にソフトバンクの内川(聖一)選手と合同自主トレをして、バッティングのヒントを得て、ミートの幅が広がったように感じます。

横山 そうだよね。あんなにホームランを打つイメージは昔はなかった。2014年に同期入団してきた高橋(大樹)、美間(優槻)たちもそうだけど、みんな高卒のわりによく振るな、という印象はあった。でも、あそこまで角度良く飛ばしてはいなかった。昨季からガラッと変わったな、と感じたね。

廣瀬 体も大きくなっていますし、トレーニングもしっかりしている。

横山 意識が高いよね。

廣瀬 貪欲ですね。どんなことでも聞きに来ます。

横山 誰に言われたわけでもないんだろうけど、いいとき、悪いときに関わらずしっかり同じ練習をしている姿を見るよ。

廣瀬 練習できる才能があるんです。負けず嫌いで、練習の虫なんです。

横山 若い選手なのにすごいな、と思う。誠也だけじゃなく、春のキャンプでは昨季に優勝しても浮かれた様子もなく、黙々と練習している今の若い選手は頼もしかった。
写真=BBM

◆『週刊ベースボール』7月31日号(7月19日発売※一部地域除く)では、「広島カープ」を大特集! OB解説者・横山氏と廣瀬氏による強さの秘密を明かす対談をはじめ、丸佳浩、鈴木誠也らのリポートに、後半戦のキーマン・今村猛會澤翼のインタビュー、ファームで光る金の卵やチームを支える裏方をクローズアップする盛りだくさんの内容です。

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