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【プロ野球ファーム便り】西武 山田遥楓「ますます燃える獅子の“熱男”」

 

ひと回り大きくなり、パワーをつけたことで長打も増えた


 西武のファームの試合はにぎやかだ。投手が1球を投げるごとに「ナイスボール!」と内野から大きな檄が飛ぶ。声の主は山田遥楓だ。

 2015年にドラフト5位で入団し、3年目のシーズンを迎えた。“元気と大きな声”を専売特許に、1年目から存在をアピールしてきた。自分の調子の良し悪し、チームの勝敗に左右されずに、常にチームを鼓舞する大きな声を出し続ける姿に、二軍首脳陣はもちろん、一軍首脳陣も一目置いた。

 だが、“戦力”となると話は別。育成も兼ねて獲得した高卒選手ゆえ、線も細く、肉体的にも技術的にも未熟な選手に一軍の門戸が開かれることはなかった。しかし今季、ついに待望のチャンスが到来した。

 体が格段に大きくなったことでパワーが増し、打撃に力強さが増した。2年間で1本だった本塁打は今季すでに6本を記録(7月27日現在)。また、打率も1、2年目とも1割8分台しか残せなかったが、一時期は3割を超えるほどに。さらに守備もミスが減り、明らかに安定感が増している。こうした確固たる成績が評価され、6月30日、3年目で一軍初昇格を果たしたのだ。

 結果として、3日間の短い帯同期間で、1度も出場できなかったが得られたものは大きかった。中でも響いたのが先輩からの一言だ。

「『二軍に慣れるなよ』と。その言葉を聞いたときに、どこかで二軍に慣れている自分に気づきました。プロ野球選手である以上、ここ(一軍)でやらないといけないと思いました」

 赤田将吾二軍打撃兼外野守備・走塁コーチも「“いい経験”にするのか、“思い出”で終わらせるのかは、これからの本人次第。今度は“一軍で何をするか”という明確な目標を立て、それに向けて取り組んでもらいたい」と今後は要求を高めていく。

 高卒という立場上、1つの節目とされる3年目が重要な年であることを山田自身、入団時から常に意識してきた。

「自分の中では、打つしかないと思っている。調子の波を小さくして、安定して率を出して、必ず今年中に一軍の舞台で打席に立ちたい」

 西武の“熱男”は、ますます燃えている。

文=上岡真里江 写真=BBM

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