多士済々の投手陣に加え、新戦力の台頭も目覚ましい2017年のベイスターズ。セイバーメトリクスの観点からチーム躍進の要因を探ってみたい(データは7月24日現在)。
投では大きいウィーランドの存在
今シーズンのベイスターズ最大の強みとなっているのは投手力、野手の守備力からなるディフェンス面だ。特に救援陣は昨季不振だった
山崎康晃の復調もあり、昨季以上の成果を挙げている。先発陣も健闘しているが、前半戦終了とともに新人の
浜口遥大が離脱して台所事情は苦しくなった。その強みが失われかねない状況でのウィーランドの復帰は大きい。
【表1】はセ・リーグのエース級の先発投手とウィーランドをセイバーメトリクスで重視される基礎指標で比較したものだ。ウィーランドは奪三振割合(K%)、与四球割合(BB%)、ゴロ割合、いずれもリーグの平均より優れた数字を残している。球界を代表する投手である
巨人・
菅野智之らとも肩を並べる数字だ。
【表1】
投球回 K% BB% ゴロ割合
ウィーランド(
DeNA) 65.2回 22.4% 3.9% 50.0%
菅野智之(巨人) 118.2回 24.0% 4.6% 54.1%
メッセンジャー(
阪神)117.0回 24.8% 8.2% 48.0%
マイコラス(巨人) 109.1回 22.6% 2.7% 59.1%
セ・リーグ平均 19.4% 8.4% 49.2%
ウィーランドがこれまでの投球内容を維持し、順調にイニングを担うことができれば浜口の穴を埋め、さらなる上積みも期待できる。もし浜口の早期復帰が叶えば先発陣はさらに強化され、救援陣と併せてリーグトップクラスの投手陣になるだろう。
打では三塁手の働き増が躍進の要因
チームに大きな力を与えている宮崎
攻撃面では
宮崎敏郎の打撃での好調が効いている。昨季のベイスターズは三塁手の攻撃力で他球団に対し後れをとっていたが、これが一転して強みになっている。
【表2】はチームの三塁手の攻撃での働きを得点換算し、平均的な働きとの差を算出したものだ。ベイスターズの三塁手はこの数字が2015年にマイナス2.4、昨季はマイナス18.8だった。だが今シーズンは宮崎の活躍もあり、7月24日現在で10.4に達し、年間で数字に換算すると16.3に及ぶ数字となる。昨季から三塁だけで約35点の上積みであり、躍進の大きな原動力になっている。さらに宮崎は守備の指標でも高い数値をマーク。12球団最高レベルの三塁守備で失点減にも貢献している。
【表2】
年度 打率/出塁率/長打率 貢献を得点換算し
平均と比較した数字
2015 .257/.326/.382 -2.4
2016 .222/.265/.333 -18.8
2017 .317/.363/.440 10.4
※「貢献を得点換算し平均と比較した数字」は出塁、長打両面から貢献を計り得点に置き換えた数字を、同じポジションの平均的な数字と比較したもの。10.4点であれば、平均的な選手が同じだけ打席に立った場合と比べて、約10点多く得点をもたらしたことを意味する。 出遅れていた
筒香嘉智らも調子を上げており、宮崎が状態を維持できればDeNAが攻撃面でも前半戦以上の成果を挙げる可能性は高い。こうした投打で“伸びしろ”を残した状態で戦っていることを考えると、今後もさらなる攻勢をかけていく可能性は十分にある。
データ解析・文=DELTA 写真=BBM ◆『週刊ベースボール』8月14日号(8月2日発売※一部地域除く)では、「横浜DeNAベイスターズ」を大特集! 宮崎敏郎、ロペスのインタビューに筒香嘉智らをクローズアップ。さらに番記者による座談会、
三浦大輔氏の投手陣総チェックなど盛りだくさんの内容です。