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【プロ野球ファーム便り】広島 長井良太「伝統の育成力で急成長」

 

プロで投球メカニックの指導を受け、「これまで使えていなかった(体の)部分が使えるようになった」という


 プロ野球の世界に飛び込んだ18歳は飛躍的な成長を遂げている。かつては体重が落ちることがあった夏だが、今年は様子が違う。トレーニングや栄養面の意識も高まった。練習の合間にはバナナを口にするなど細かな努力を積み重ね、入団当時79キロだった体重は82キロまで増えた。もちろん、スケールアップした体は球質に変化を与えた。

「ボールを受けた捕手に、球の質が重くなったと言われます」

 長井良太が投手を本格的に始めたのは、つくば秀英高に入ってからだった。キャリアの浅い未完の大器にとってボールの質は大きなテーマであった。

「中学時代はチーム事情でキャッチャーをやっていました。高校に入っても、なかなかピッチャーらしい球質になりませんでした。野手の投げ方だったこともあると思います」

 成長ぶりは爆発的なものがある。高校1年から2年にかけて、球速が126キロから149キロまで伸びた。

「夏場の走り込み、冬場の1日200球の投げ込みが良かったのだと思います。試合ごとに球速がどんどんアップしていきました」

 投げ込みのインターバルの時間には縄跳びをするなど、質量ともに濃い練習が能力を高めていった。

 長田中(兵庫県)では軟式野球をやりながら、元プロ野球選手が教える野球塾で硬式球に触れてきた。中学では捕手だったが、ここでは投手としての技術を学んだ。大事な教えは、今も忘れない。

「『野手の投げ方で、テークバックが小さく打者から見やすいフォームだ』と言われてきました。だから、しっかりしたテークバックで投げるように指導してもらってきました」

 中学時代の取り組み、高校での爆発的な球速アップ、そして、プロ野球の世界で高まってきたボールの質……。甲子園を沸かせたわけではない。しかし、MAX149キロの速球と驚異の成長のスピード、ドラフト6位とチームでは最下位の指名ながら同期入団の高卒投手の中で最も早く二軍デビュー。8月2日現在、9試合に投げ、2勝2敗0セーブ、防御率6.60の成績を残している。

「1日でも早く一軍のマウンドに立ちたいです」

 背番号65の躍動はカープのスカウティングと育成の確かさの証明となるだろう。

写真=BBM

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