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交流戦8年連続負け越しのヤクルトが快進撃している理由とは?

 

終盤の勝負強さで首位に立つ


6月5日のソフトバンク戦(神宮)に勝ち、交流戦首位へ


 交流戦は8年連続負け越し。しかも昨季は開幕から引き分けを挟んで10連敗と、燕にとって憂鬱な季節でしかなかった。しかし今季はどうだろう。開幕戦こそロッテに敗れたが、その後は今季初となる6連勝をマークした。セ・リーグの最下位に沈んでいたチームが、7試合終了時で首位に立つという“まさか”の展開となっている。

 その要因は、終盤の粘り強さにある。6月5日のソフトバンク戦(神宮)には12対6と大勝したが、その他の5勝すべてが3点差以内と接戦を制していることも大きい。5勝の中身を見ていくと、日替わりヒーローが現れていることが分かる。

 以下は決勝点を挙げたイニングと打った選手だ。

【ロッテ戦(神宮)】
 5月30日 7回勝ち越し 雄平

 5月31日 6回逆転 大引啓次

楽天戦(楽天生命パーク)】
 6月1日 7回勝ち越し 青木宣親

 6月2日 8回勝ち越し 坂口智隆

 6月3日 8回勝ち越し 畠山和洋(遊ゴロ野選)

 期間中、2ケタ安打を記録したのは1試合のみで、打線が爆発したという印象はない。それでも終盤の勝負どころで四球を絡めてしぶとくつなぎ、泥臭く決勝点を奪うという戦い方が際立っている。

 遊撃手のグラブをかすめて中前への勝ち越しの2点適時打を放った青木は「正面を突く打球が最近多かったから、それが返ってきてくれたのかな」と笑顔。また、逆転の2点適時打を放った雄平は「バレンティンが四球でつないでくれたので、みんなでつなぐつもりで打ちました」。6月3日、6試合目にして交流戦初安打を放った山田哲人は「やっと交流戦が開幕した」と安どの表情。役者たちがそれぞれの仕事をこなし、打線が機能している。

 小川淳司監督は5連勝を決めた試合後、「投手陣がよく頑張ってくれて、結果も出ている。内容も結果もいいし、素晴らしいゲームだったと思う」と目を細めた。この5勝のうち、先発投手で白星を挙げたのはブキャナンのみだが、ハフは6回5安打1失点、山中浩史は5回6安打1失点、小川泰弘は6回9安打2失点とそれぞれ粘投。先発投手が試合を作り、打線による逆転劇につなげている。

 そして最も評価すべきは中継ぎ陣の奮闘だ。この期間中、カラシティー中尾輝が2勝ずつをマーク。秋吉亮は防御率4.57と不安定だが、近藤一樹、そして抑えの石山泰稚へとつなぐ必勝リレーが定着してきた。

 ただし、気がかりは救援陣の登板過多。4連投の石山の登板を回避し、中尾、近藤が回またぎしてしのいだ試合もあった。近藤、中尾はチーム最多の25試合に登板している。今後は5日の試合のように中継ぎを休ませる打線の援護が求められそうだ。

 勝ちが先行する現状も、楽観視はできない。今後、今日のソフトバンク戦をはじめ、西武日本ハムというパの3強との戦いが待っている。打線、投手陣の真価を問われるのはこれからだ。上位の背中は確実に見えている。強豪チームと好勝負を演じ、浮上していきたい。

写真=高塩隆

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