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広島がいつの間にか5.5差で首位。交流戦明け3連勝、もう止まらない!?

 

敵地で虎に3タテ


6月24日、9回にダメ押しとなる満塁弾を放った鈴木誠也


 その一打は、甲子園に詰めかけた阪神ファン、そして阪神ベンチを沈黙させ、プライドをズタズタに切り裂いた。「最近、仕事ができていなかったのでよかったです」。ビジターの勝利者インタビューだけに控えめに喜びを表現したのが、広島の“四番”鈴木誠也。言葉は謙虚でも、その一打は圧巻だった。

 6月22日、敵地甲子園の対阪神でリーグ戦再開。1、2戦と連勝を飾り、24日の試合で同一カード3連勝を狙う広島は序盤から試合を支配し、6対1とリードしたが、阪神打線の猛攻を受け、6対6の同点とされた。迎えた9回表の攻撃だった。マウンドには、体調不良からの復帰登板となった虎の守護神・ドリスが立つが、これが誤算。無死二塁からの送りバントで一塁に悪送球し、広島が1点を勝ち越す。

 さらに一死満塁とし、打席に入ったのが、鈴木だ。ドリスが投じた内角高め151キロの速球をとらえると、打球はレフトのポールに直撃する満塁弾。広島は11対6で勝利し、2位巨人との差を5.5と広げ、いよいよ独走態勢となってきた。

 交流戦では7勝11敗と、まさかの失速に終わった広島だが、セは他球団も最下位だったヤクルト以外貯金を作れず、広島の優位は変わらなかった。この3連戦では、22日の初戦は“エース”大瀬良大地が阪神打線相手に7回を被安打3、無失点で10勝目。両リーグで2ケタ勝利一番乗りを果たした。6月は失点が多いながら打線の援護もあって勝利を重ねてきた大瀬良だが、防御率も2.70まで持ち直し、たくましさも増す。

 翌23日は、雨で試合開始が1時間13分遅れる中、背中痛で離脱していた野村祐輔が先発し、6回途中まで無失点で今季3勝目。打の主役は2本塁打の丸佳浩だ。離脱はあったが、交流戦から復帰し、6月はこれで6本目のホームランになる。

 連覇を担った“役者”が帰還する広島だが、データを見れば図抜けた数字はない。6月25日現在、チーム防御率、打率、盗塁数はすべてリーグ3位、ホームランは2位。対中日には5勝7敗と負け越し。爆発的な強さはなく、紙一重の戦いも少なくないが、それでも「5.5差」の独走は21勝9敗とホームでの圧倒的な強さ、そして何より一戦一戦、最後まであきらめない姿勢が支えている。セの他球団よ、挑戦者と王者のメンタルが逆ではいけない。猛省を。

写真=佐藤真一

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