ダイヤモンドを疾風のごとく駆け回るロッテ・和田康士朗の株が上昇している。練習試合13試合で12球団トップの7盗塁。驚異の俊足で2位タイのチームメート・
荻野貴司の4盗塁に差をつけた。
和田は高校野球未経験という異色の経歴の持ち主だ。中学まで野球を続けたがたび重なる故障もあり、高校で野球を続けるのを断念。陸上部に入部した。しかし、中学時代まで切磋琢磨してきた仲間たちが高校野球で頑張っている姿を見て野球熱が再燃。1年の途中で陸上部を退部し、地元・埼玉のクラブチーム「都幾川倶楽部硬式野球団」で、社会人の選手とともにプレーした。
高校卒業後はBCリーグの富山・
吉岡雄二監督の目に留まり入団。1年目に左翼の定位置をつかみ、打率.271、14盗塁をマーク。18年育成ドラフト1位でロッテに入団した。2年目の昨年はチーム2位タイの23盗塁をマーク。その活躍ぶりが評価され、6月1日に支配下登録契約を結んだ。
50メートル5.8秒の俊足と球界トップクラスの速さだが、盗塁成功の秘訣はそれだけではない。他球団のスコアラーは「スタートの思い切りがいいし、スライディングも失速しない。リリーフはクイックが得意でない外国人投手も多いので試合の終盤に出てきたら厄介です。足で勝負を決める
ソフトバンクの周東(佑京)みたいになる可能性を秘めています」と警戒を口にする。
ロッテにとっても得点力アップへ、機動力強化は重要なテーマだ。昨年はリーグ2位の642得点だったが、盗塁数はリーグ4位の75盗塁。リーグ2連覇した
西武が756得点、134盗塁と比較すると見劣りする。2ケタ盗塁をマークしたのは28盗塁の荻野貴司、
岡大海の13盗塁、
中村奨吾の12盗塁の3人のみ。ソフトバンクからFA移籍した俊足の
福田秀平とともに、和田が塁上で相手に重圧をかけ続ければチームにとって大きなプラスアルファになる。
ただ、「代走のスペシャリスト」が目標ではない。あこがれの選手は同じ左打者のソフトバンク・
柳田悠岐。体がのけぞるほどの豪快なフルスイングが持ち味で、昨年はイースタンで打率.264、6本塁打とパンチ力もある。まだ線は細いが身長185センチと肉体改造でさらにパワーアップの伸びしろがある。将来はトリプルスリーを狙える逸材に要注目だ。
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