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エース・大瀬良の活躍で快勝。開幕戦で見えた2020佐々岡カープの戦いとは?

 

集中力が崩れなかった大瀬良


1失点完投で2年連続開幕勝利を飾った大瀬良。バットでもプロ1号を含む3打点だった


 待ちに待った、という感じだが、プロ野球が開幕した。佐々岡真司新監督の下、2年ぶりのVを目指す広島は、横浜でのDeNAとの開幕戦を、エース・大瀬良の投げて打っての大活躍で勝利。佐々岡丸は鮮やかな船出を飾った。今回は、開幕戦で垣間見えた2020佐々岡カープの戦いを振り返ってみたい。

 まず、ゲームの内容以前に「ははーん、今年はやっぱりこうなるんだな」と思わせられたのが、雨の中でのゲームの強行だった。この日の横浜は雨が降り続き、去年までだったら中止になっても何の不思議もない空模様。それでも30分スタートを遅らせ、ゲームは強行された。120試合が短い期間に詰め込まれている今季は、運営側としてもできるだけ中止は避けたいという事情があるはずで、こういったコンディションのよくない中でのゲームもこれまでより増えることが予想される。6球団中4チームの本拠地が屋外球場のセ・リーグでは、こういったコンディションへの対応の巧拙は、意外に隠れたポイントになるかもしれない。

 それはさておき、この日のゲームは何と言っても2年連続開幕投手の大瀬良大地のピッチングだった。30分遅れのスタートにも、雨の中というコンディションにも、この日を目指してしっかりと調整してきた集中力は崩れなかった。もちろん、それこそ雨の中というコンディションで、序盤は制球できないボールも時にはあったが、このオフに研究したシュートや、昨季はそれほど使わなかったカーブを交え、積極的にストライクゾーンにボールを通していった。

 この積極的にゾーンを通していく投球は大瀬良の持ち味だが、「甘くなったときには一発を浴びやすい」という面もあり、この日も2回に甘くなったスライダーをロペスにレフトスタンド中段に運ばれてしまったが、逆に「四球を出す可能性が低い」「球数が抑えられる」というプラス面があり、これがあとあと効いてくることになる。この日の大瀬良は、最終9回にソトになんと17球と粘られたため球数を増やしたが、8回までは無四球で、投球数83。これが完投に結びついた。ちなみに、ここまでの球数は、5回で降板したDeNA先発の今永昇太の球数92球よりも少なかったほどだ。

1点リードで守備固め


 1点リードの9回表には、打順が回ったが完投を目指してそのまま打席へ。5回表の同点タイムリーに続き、ここでライトへプロ初ホーマーとなる2ランを放ったのは恐れ入ったが、佐々岡監督が「このゲームは大瀬良と心中」という采配を見せたことも興味深い。もちろんこの日は球数の少なさという条件はあったはずだが、もしかしたら今季は「大瀬良が投げる日は極力完投」という基本方針があるのかもしれない。

 ただ、そうはいっても完投は簡単なことではなく、この日の大瀬良も8回裏にはカットボールが浮いたところを宮崎敏郎に二塁打され、一死三塁のピンチを招く場面があったが、代打・オースティンの強烈な当たりをサードの三好匠が素早い反応でさばき、走者を本塁で刺す好プレーを見せたことで救われた。三好はこの回からメヒアに代わって守備固めに入っていた。普通ならリードわずか1点で守備固めに入るのは多少勇気がいるが、延長が10回までしかない今季は、この作戦はアリだろう。三好は若手成長株の小園海斗をファームに落としてまで開幕一軍に残した選手。ここは新監督のメンバー編成と采配の冴えがあったと言えるだろう。

 エースの快投、快打でスタートしたカープだが、9回表に大瀬良を打席に送った場面を裏返してみれば、そこで代打を出して、その裏を任せられるだけの信頼度のあるクローザーがいない、ということでもある。2試合目以降の次なる課題は、「勝ちゲームをリレーで逃げ切る」ということになるだろうか。

文=藤本泰祐 写真=BBM


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