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開幕カードで機能した? セ・リーグ6球団「一番打者事情」

 

読売ジャイアンツ



 値千金の働きだった。6月19日、阪神との開幕戦(東京ドーム)に「一番・二塁」で先発出場した吉川尚輝は、1点を追う7回、大きな仕事をやってのけた。この回からマウンドに上がった岩崎優を攻め、一死二塁とした場面だ。「つなぐ意識で打席に入りました」という吉川尚だが、内角低めの138キロ直球を振り抜くと、打球は右翼席へ。起死回生の逆転弾で、チームは開幕戦に勝利し、球団通算6000勝を達成。ヒーローとなったが、良かったのはここまで。翌20日の第2戦は11得点の大勝を飾る中で無安打。21日の第3戦ではベンチスタートとなった。ただ、一番の最有力候補であることには変わりはなく、原辰徳監督も「(先発落ちで)尚輝にもファイティングスピリットに火をつけてあげないとね」と期待している。

横浜DeNAベイスターズ



 2年連続で「一番・中堅」で開幕を迎えた梶谷隆幸がリードオフマンを務めた。6月19日、広島との開幕戦(横浜)は無安打に終わったが、2戦目は2安打1四球、3戦目は1安打で打率は.250、出塁率は.308。一番打者としては「及第点」の働きだったといえよう。打率はともかく、出塁率を上げいかなければ、2014年に盗塁王に輝いた俊足を発揮する機会もない。相手からすれば、シーズン20本塁打以上をマークする長打力もあり、足も使える梶谷は非常に怖い存在だ。積極的な姿勢でチャンスメーク、ソト佐野恵太、ロペス、宮崎敏郎と続く主軸につないでいきたい。

阪神タイガース


阪神・糸井嘉男


 巨人との開幕3連戦(東京ドーム)の成績だけを見ると13打数5安打、打率.385と素晴らしい数字を残した糸井嘉男。超攻撃型打線を構想する矢野燿大監督は「一番・糸井、二番・近本」というオーダーを思考し、開幕戦、第2戦は一番としてスタメン出場した。しかし、チームは連敗。糸井は開幕戦では4打数無安打、第2戦では2安打を放ったが、イニングの先頭打者として打席に立った1回表と5回表は出塁できず得点に絡めなかった。第3戦は一番に入った近本光司が先頭打者本塁打を放ち、気を吐くも、チームは3連敗。敗因は四番・ボーアがチャンスで打てず、さらに打線全体が湿っていたこともあるが、一番を固定できなかったことも要因の一つだ。

広島東洋カープ


広島・ピレラ


 6月19日、DeNA戦(横浜)、広島でシーズン最初にバッターボックスに入る役目を務めたのは、新外国人のホセ・ピレラだ。しかもその打席で相手エース・今永昇太からいきなり右前打を放って、チームを勢いづけた。その日は第3打席で左前打した後、第5打席には中越えに豪快な来日1号アーチをかけ、いきなりの猛打賞。第2戦でも8回に左前に適時打(写真)、第3戦でも第1打席に二塁打と、3連戦で14打数5安打、打率.357を記録した。バットを内側から最短距離でぶつけていくような打撃は思い切りがよく、相手チームにとっては長打も秘めた怖い一番打者になりそう。当初、一番を想定されていた田中広輔も下位打線に回って打撃好調で、「ピレラ一番」は今のところうまく回っている。

中日ドラゴンズ



 開幕戦では7年連続安打。3連戦で残した数字は13打数4安打で3試合すべてに安打を放った。昨年は174安打で最多安打のタイトルを獲得。その自信を持って臨んだ神宮でのヤクルトとの開幕カードは、まずまずの滑り出しと言えるだろう。足のある大島が出塁すると相手バッテリーに大きな重圧を与えることができるのもプラスだ。開幕前の練習試合は絶好調をキープしながら、下半身に強い張りを覚えてラスト4試合を欠場。控えの選手たちが一番に座ったものの、やはり大島と比べるとすべての点で見劣りする。チームにとっても開幕カード8年ぶりの勝ち越しは、一番に座った大島の存在感も大きかったに違いない。

東京ヤクルトスワローズ


ヤクルト・坂口智隆


 坂口智隆が絶好調で、斬り込み隊長として大暴れしている。6月19日、中日との開幕戦(神宮)の初回、坂口が内野安打で出塁すると、二番・山田哲人が本塁打。翌20日の同戦も初回に坂口の右前打から山田哲の本塁打で得点と、2人だけで2点を奪う攻撃を連日展開した。21日は中日先発の梅津晃大の前に打線が沈黙したが、坂口は一人気を吐いて2安打1四球で3度出塁。3試合終了時点で、打率は脅威の.600だ。高津臣吾監督も「坂口がよく出塁してくれるので、必然的に哲人の前にランナーがいたり、走者を置いてクリーンアップというシチュエーションができています。今の段階ではすごく機能しているんじゃないかなと思いますね」と、打線に手応えを得ている。

写真=BBM


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