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ドラフト特集2020

12球団徹底分析ドラフト補強ポイント&ターゲット【パ・リーグ編】

 

即戦力&将来性と素質の高い選手は、当然のように他球団からもマークされている。チームの戦略が問われるところだ。次にDH制のあるパ・リーグを見てみよう。
※年齢は2020年満年齢

埼玉西武ライオンズ



2020ターゲット
[1]松本隆之介 将来のエース素材型左腕 (投手/横浜高/18歳)
[2]佐藤輝明 俊足巧打の大型スラッガー (内・外野手/近大/21歳)

補強ポイント
[投 手]将来性のある左腕
[捕 手]補強の必要なし
[内野手]中村剛也の後継者
[外野手]右打ちの大砲タイプ

 近年の補強ポイントである左腕の獲得は推し進めたい。今季ドラフト2位入団の浜屋将太を先発として育てていく可能性はあるが、特に若手に左腕はまだまだ足りない。早川隆久(早大)、松本隆之介(横浜高)、高田琢登(静岡商高)ら高い能力を秘めた左腕を狙っていきたいところだ。もちろん、右腕だが中森俊介(明石商高)ら力のある好投手も選択肢には入ってくるだろう。今年で37歳になる中村剛也の後継者となるスケールの大きな三塁手も欲しい。うってつけの存在は佐藤輝明(近大)だ。圧倒的な飛距離を誇る左のスラッガー。しかし、1位指名で消えることは確実だ。左腕を指名するか、それとも佐藤にトライするか。西武の捕手以外の野手最上位指名は2002年ドラフト自由獲得枠の後藤武敏までさかのぼらないといない。2位以下で獲得した野手を育てる伝統があるだけに、どう判断するか。高校生三塁手なら井上朋也(花咲徳栄高)、西野力矢(大阪桐蔭高)らもいる。

福岡ソフトバンクホークス



2020ターゲット
[1]来田涼斗 攻守走そろう大型外野手 (外野手/明石商高/18歳)
[2]元山飛優 高い守備力の即戦力遊撃手 (内野手/東北福祉大/22歳)

補強ポイント
[投 手]次代のエース候補
[捕 手]強肩の打てる捕手
[内野手]今宮健太の後継者
[外野手]柳田悠岐の後継者

 超高校級右腕の中森俊介(明石商高)ら将来性豊かな投手にも目を配りつつ、優先すべきはやはり今年も野手だろう。非凡な打撃センスに加えて長打力も魅力的な西川僚祐(東海大相模高)、来田涼斗(明石商高)といった伸びしろ十分なスラッガーたちは、柳田悠岐の後継者として未来の主軸を任せるべく大きく育てたい存在だ。2018年秋のドラフトで小園海斗(報徳学園高→広島)の獲得に失敗した遊撃手についても、レギュラーを張る今宮健太がケガがちなことを考えて、即戦力をも重視しての補強が求められる。その点で注目すべきは元山飛優(東北福祉大)。広い守備範囲と高い送球力を誇り、作山和英スカウトも「守備力はプロレベル」と評価している。高校生ならば、入江大樹(仙台育英高)、岡本大翔(米子東高)の名前が挙がる。

 また、新型コロナウイルスの影響で視察が限られる中、俊足強打の外野手・瀧倖之介(佐伯鶴城高)ら独自の情報網を駆使して隠れた逸材たちの発掘にも力を注ぐ。

東北楽天ゴールデンイーグルス


[左]西川僚祐 [右]佐藤宏樹


2020ターゲット
[1]西川僚祐 四番が務まる右の大砲 (外野手/東海大相模高/18歳)
[2]佐藤宏樹 先発ができる即戦力左腕 (投手/慶大/21歳)

補強ポイント
[投 手]先発&救援できる左腕
[捕 手]補強の必要なし
[内野手]浅村栄斗の後継者
[外野手]右打ちの大砲タイプ

 エースに則本昂大、主砲に浅村栄斗と、投打の大黒柱を確立しており、しばらくは安泰と言えそうだ。投手の補強ポイントとしては層の薄いサウスポーが挙げられる。松井裕樹が先発に再転向したとはいえ、コマ不足の不安は払拭できていない。そのため、即戦力として救援にも適性がある151キロ左腕の佐藤宏樹(慶大)が上位指名候補に浮上してきそうだ。

 野手では銀次島内宏明茂木栄五郎など俊足巧打の左打者が多くいる一方で、浅村の後継者となり得る右の大砲候補がなかなか育っていないのが現状。近年は素材型の高校生を1位指名する傾向があるだけに、高校通算53本塁打の実績がある強打の右打者・西川僚祐(東海大相模高)が1位指名候補としてリストアップされる可能性もありそう。近年はFA補強で戦力アップを果たしているが、課題である生え抜き選手の育成が不可欠だからだ。また即戦力の右の大砲としては、今川優馬(JFE東日本)の名前も挙がる。

千葉ロッテマリーンズ


[左]早川隆久 [右]佐藤輝明


2020ターゲット
[1]早川隆久 即戦力の先発左腕 (投手/早大/22歳)
[2]佐藤輝明 長打力ある外野手 (内・外野手/近大/21歳)

補強ポイント
[投 手]即戦力の先発ローテ投手
[捕 手]補強の必要なし
[内野手]将来の遊撃手候補
[外野手]ベテランたちの後継者

 2016年の平沢大河から18年・安田尚憲、19年・藤原恭大、20年・佐々木朗希と有望高校生を獲得。いずれも育成課程にあるだけに、今秋の方針は“育成”で貫くか“即戦力”にシフトするかは、今季のチーム成績に左右されそうだ。とはいえ主力の大半が30代なのも事実。種市篤暉岩下大輝と若手先発投手も台頭しているが、いずれも右腕で先発左腕は小島和哉のみ。それだけに即戦力左腕は獲得したいところ。大学生では早川隆久(早大)、社会人では佐々木健(NTT東日本)らの左腕に触手を伸ばす可能性は高いだろう。

 野手では外野手の層を厚くしたい。藤原の台頭が理想ではあるが、荻野貴司福田周平角中勝也清田育宏がいずれも30代とあって、世代交代の時期は遠くない。そのため、即戦力を求めて今川優馬(JFE東日本)の長距離砲や、一発も秘める俊足巧打の佐藤輝明(近大)、高卒で“育成路線”を貫くならば来田涼斗(明石商高)や井上朋也(花咲徳栄高)の可能性も十分にありそうだ。

北海道日本ハムファイターズ


[左]佐藤輝明 [右]中森俊介


2020ターゲット
[1]佐藤輝明 打力もある即戦力野手 (内・外野手/近大/21歳)
[2]中森俊介 将来性豊かな先発投手 (投手/明石商高/18歳)

補強ポイント
[投 手]近未来のローテ投手
[捕 手]強肩強打の捕手
[内野手]三拍子そろった即戦力
[外野手]西川遥輝の後継者

 今年のドラフトは伸びしろ豊かな先発型投手か、攻守走がそろった即戦力野手が補強ポイントの優先項目となりそうだ。エース・有原航平と主将の西川遥輝がメジャー挑戦の可能性を秘めており、穴を埋める素材をドラフトで確実に獲得したい。野手では糸井嘉男2世の呼び声も高い佐藤輝明(近大)が現状では最有力の1位候補。三塁や外野を守り、攻守走の三拍子がそろう規格外の身体能力の持ち主。パワー、スピードが不足している打線強化にも適した逸材だ。高校生外野手の西川僚祐(東海大相模高)、来田涼斗(明石商高)も上位候補に入ってきそうだ。

 投手では最速151キロの将来性豊かな中森俊介(明石商高)にも熱視線。また、地元・北海道出身の154キロ右腕、伊藤大海(苫小牧駒大)はセットアッパーもしくはクローザー候補としてもリストアップしている模様。ほかにも50メートル走5秒6を誇る五十幡亮汰(中大)など、一芸に秀でた選手の指名もありそうだ。

オリックスバファローズ


[左]西野力矢 [右]佐藤宏樹


2020ターゲット
[1]西野力矢 長打力ある右の大型三塁手 (内野手/大阪桐蔭高/18歳)
[2]佐藤宏樹 救援適性ある即戦力左腕 (投手/慶大/21歳)

補強ポイント
[投 手]救援左腕
[捕 手]補強の必要なし
[内野手]大型三塁手
[外野手]右の長距離砲

 昨秋ドラフトで獲得に失敗したポジションを狙う可能性が高い。1位指名で中日との競合の末に石川昂弥を逃したように、三塁を守れる右の長距離砲が補強ポイント。今季も中川圭太宗佑磨小島脩平らが同位置に就くなど固定できずにいるだけに三塁手の獲得を狙っていくはず。さらに、左打ちの巧打者が多いとあって、右の長距離砲が理想だ。合致するのが西野力矢(大阪桐蔭高)、渡部健人(桐蔭横浜大)。1月には谷口悦司スカウトが西野の視察に訪れて「スイングが強いし、楽しみな選手」とコメントしており、近年は育成重視で高卒を多く獲得してるだけに西野の指名も考えられる。

 一方の投手は若手先発投手の充実で求められるのは手薄な救援左腕だ。海田智行も今季で33歳だけに層を厚くしたいところ。ただ、中森俊介、来田涼斗(ともに明石商高)と高校生の投打の目玉にも注視。中森を獲得すれば投手王国がさらに進み、来田を獲れば吉田正、T-岡田との日本人大砲トリオという夢もふくらむ。

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