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2021ドラフト特集

12球団編成&スカウト布陣一覧&2021補強ポイント【パ・リーグ編】

 

多くの大会が中止となった昨年に続き、収束の兆しの見えないコロナ禍の中、スカウトが限られた情報の中で選手を発掘する眼力はますます重要なものとなる。スカウトの体制にテコ入れをするチームもあれば、手練れのスカウト陣で臨むチームも。12球団の編成&スカウトの新陣容を、今季の補強ポイント予想とともにお送りする。
※表中、(新)は2021年新任、□は復帰。主な担当選手のポジションは入団当時


ソフトバンク・Vを支えた裏方が仲間入り


 過去3年、顔ぶれに変更はなかったが、今年は昨年、関東地区を担当していた荒金久雄氏が二、三軍のフロントファーム部門の野手育成担当に就任。次代を担う若手野手陣の強化に努める。代わって新しく入ったのが、球団OB・元投手の松本輝氏だ。2011年に現役引退後はソフトバンクで打撃投手に。チームを陰で支え、選手の成長を肌で感じてきただけに、“プロでの飛躍が見込めるか”などチェックする目は確か。将来性豊かな逸材発掘に力を注ぐ。

【2021補強ポイント】若手の成長次第で“将来性”が色濃く
 現チームの課題、主力陣の後継者を育てるべく、過去2年は“投手より野手”の指名。彼らを含めた若手野手陣が順調に成長を見せてくれれば、今後も“即戦力より将来性”と数年後を見据えた補強に特化できる。となれば、1位に関しては、投手・野手にしばられることなく「その年最も評価が高い選手」を競合必至で狙いにいく可能性が高い。また、昨年同様に、支配下全員高校生の可能性も。

■編成&スカウト一覧
氏名[担当地区]=主な担当選手
永井智浩
☆福山龍太郎[全国]=甲斐拓也(楊志館高・捕)
作山和英[北海道・東北]=周東佑京(東農大北海道オホーツク・内)
○宮田善久[関東]=石川柊太(創価大・投)
岩井隆之[九州]=渡邉陸(神村学園高・捕)
山崎賢一[中国・四国]=千賀滉大(蒲郡高・投)
山本省吾[東海・北信越]=栗原陵矢(春江工高・捕)
稲嶺誉[関西]=田上奏大(履正社高・投)
福元淳史[関東]=井上朋也(花咲徳栄高・内)
(新)松本輝[関東]
★=球団統括本部 編成育成本部 本部長 兼 スカウト部 部長、☆=チーフ、●=チーフ補佐、○=関東統括

ロッテ・新たな眼も加わり発掘へ


 担当地区は設けているものの、関東地区は柳沼強氏、中川隆治氏に加え、九州地区担当の福澤洋一氏が大学生の東都リーグを視察するなど“複数の眼”で逸材をチェック。柳沼氏は今年から北海道も担当地区に加わったが、逸材発掘へ一丸となって眼を光らせる。そんな布陣に昨季限りで現役を退いた三家和真氏が関西地区担当として加入。広島に育成で入団し、独立リーグを経てロッテでNPB復帰という経験は視察にも生かされるはずだ。

【2021補強ポイント】高校生左腕獲得で将来は投手王国!?
 昨季のドラ1・佐々木朗希、今季のドラ2・中森俊介の将来性は高く、近未来の先発ローテの柱として期待は大きい。ただ、ともに右腕。“左腕不足”を補うべく、今季のドラ1は即戦力の呼び声高い鈴木昭汰を指名したが、昨オフにチェン・ウェインチェン・グァンユウの両左腕が退団している。数年先を見据え、今秋も大阪桐蔭高・松浦慶斗ら、高校生左腕を指名する可能性がありそうだ。

■編成&スカウト一覧
氏名[担当地区]=主な担当選手
松本尚樹
永野吉成
榎康弘=古谷拓郎(習志野高・投)
柳沼強[北海道・東北・関東・栃木]=佐々木朗希(大船渡高・投)
中川隆治[関東]=鈴木昭汰(法大・投)
福澤洋一[九州]=佐藤都志也(東洋大・捕)
黒木純司[中国・四国]=中森俊介(明石商高・投)
小林敦[東海・北陸・千葉]=藤岡裕大(トヨタ自動車・内)
(新)三家和真[関西]
★=球団本部長、☆=育成・スカウト部部長兼ファームディレクター、◎=アマチーフスカウト

西武・独自の動きで好選手を獲得


 高山久氏が今季から二軍打撃コーチに就任したため、新しく「九州・沖縄」担当には岳野竜也氏が就任。引退後、ブルペン捕手を務めていた岳野氏は昨季二軍スコアラーも兼任していたが、今度はスカウトとしてチームのために力を尽くす。それ以外には変更点はなし。昨秋のドラフトでは支配下、育成で12人を指名。そのうち7人が野手だったが、ほぼ狙いどおりに選手を獲得することができた。今季も独自の動きでチームの実情に合った選手を獲得する。

【2021補強ポイント】昨秋から一転、「投手ドラフト」へ
 昨季は「野手ドラフト」だっただけに、今季は「投手ドラフト」になるか。昨季までチーム防御率は3年連続最下位。リリーフ陣は整備されつつあるが、先発陣はリーグ最少の平均投球回5.1と心許なかった。今季、どこまで若手が成長するかによるが、即戦力、将来性を含めてエースになり得る能力の高い投手を1位で獲得したい。特に手薄な先発左腕はノドから手が出るほど欲しい。

■編成&スカウト一覧
氏名[担当地区]=主な担当選手
渡辺久信
潮崎哲也
○前田俊郎=高橋光成(前橋育英高・投)
渡辺智男[四国]=南川忠亮(JR四国・投)
水澤英樹[北海道・東北]=秋山翔吾(八戸大・外)
竹下潤[関東]=齊藤大将(明大・投)
後藤光貴[関西・中国]=金子侑司(立命大・内)
鈴木敬洋[独立リーグ・信越]=伊藤翔(四国IL/徳島・投)
大島裕行[関東]=愛斗(花咲徳栄高・外)
安達俊也[東海・北陸]=源田壮亮(トヨタ自動車・内)
(新)岳野竜也[九州・沖縄]
★=球団本部GM、☆=編成グループ(ディレクター)、○=編成グループ(アマチュア担当チーフ)

楽天・同じ顔ぶれで発掘を継続


 編成の全権を握る石井一久GMが監督を兼任することになったため、これまで以上に現場スカウト陣の眼力が不可欠となりそうだ。スカウト部のトップである後関昌彦部長が全体を見渡し、関西を担当する愛敬尚史マネジャーを筆頭に各地で視察を行う。昨年からスカウトに転身した部坂俊之氏は早速、2位の高田孝一、3位の藤井聖の担当として獲得に尽力。長期的な強化を目指し、今年は素材型発掘にも力を入れていく。

【2021補強ポイント】和製大砲の獲得に意欲
 昨秋のドラフトでは即戦力投手の指名に一定の成果があり、今年は野手重視の可能性が高い。市和歌山高の152キロ右腕・小園健太とともに注目しているのは、バッテリーを組む松川虎生。強打の捕手は球団のニーズに合致する。また、二刀流の活躍を見せている岐阜第一高の阪口樂を右の和製大砲として高く評価。ほかにも清宮幸太郎(日本ハム)の弟である福太郎(早実)ら強打者に熱視線を送る。

■編成&スカウト一覧
氏名[担当地区]=主な担当選手
★後関昌彦=松井裕樹(桐光学園高・投)
☆愛敬尚史[関西]=小深田大翔(大阪ガス・内)
宮越徹[北海道・東北]=佐藤智輝(山形中央高・投)
沖原佳典[関東]=早川隆久(早大・投)
鷹野史寿[関東]=津留崎大成(慶大・投)
部坂俊之[関東]=高田孝一(法大・投)
山田潤[東海]=則本昂大(三重中京大・投)
山下勝巳[中国・四国]=安樂智大(済美高・投)
大久保勝也[九州・沖縄]=福森耀真(九産大・投)
★=スカウト部部長兼プロスカウトグループ・マネジャー、☆=アマチュアスカウトグループ・マネジャー

日本ハム・多田野氏がプロ兼任で新任


 担当地区に大きな変更点はない。基本的には昨年と同じ布陣だが、プロスカウトの多田野数人氏がアマスカウトも兼任することとなり、首都大学リーグの担当を受け持つこととなった。メジャー経験もある多田野氏を含めて10人のスカウトのうち、6人は元プロ野球選手で4人がプロ野球未経験者と多士済々。スカウティングと育成という基本理念の根本を担う、さまざまな経歴を持つ面々が多様な目で全国に散らばるドラフト候補選手をチェックし、可能性を探る。

【2021補強ポイント】優先されるは手薄な投手と内野
 現時点でチームの次世代を担う投手、内野手が手薄な状況にある。ここ2年、ドラフトでは大学、社会人出身の即戦力投手を多数獲得した。今年は関戸康介、松浦慶斗(ともに大阪桐蔭高)や、小園健太(市和歌山高)ら高校生に逸材が多いとされる投手を中心に、内野手も二遊間の好素材はマークしておきたいところだ。戦力アップにセンターラインの強化は、疎かにできない。

■編成&スカウト一覧
氏名[担当地区]=主な担当選手
★大渕隆=近藤健介(横浜高・捕)
山田正雄[関東]=大谷翔平(花巻東高・投)
今成泰章[関東]=上沢直之(専大松戸高・投)
坂本晃一[関東]=五十畑亮汰(中大・外)
白井康勝[北海道・北東北]=吉田輝星(金足農高・投)
高橋憲幸[南東北・北関東]=古川裕大(上武大・捕)
熊崎誠也[東海・北陸・近畿]=平沼翔太(敦賀気比高・内)
林孝哉[大阪・九州]=石川慎吾(東大阪大柏原高・外)
加藤竜人[中国・四国・近畿]=堀瑞輝(広島新庄高・投)
(新)○多田野数人[関東]
★=スカウト部長、☆=アマスカウト顧問、○プロスカウト兼任

オリックス・人事交流で視察&育成を強化


 現場と一体となって選手を育てるべく、昨年から高“人事交流”として、スカウトとコーチの入れ替えを敢行。今年は二軍投手コーチを務めていた小松聖氏がスカウトに加わった。かつて新人王にも輝き、WBC日本代表にも名を連ね、引退後にコーチも経験してきただけに、選手&指導者の“眼”でも逸材を発掘する。また、内匠政博氏がスコアラーから2年ぶりにスカウトに復帰。育成に重きを置くだけに現場と一体となって指名だけでは終わらぬ体制を取る。

【2021補強ポイント】ポジション問わず将来性を重視して
 大学・社会人を中心に指名していたドラフトから一転、2018年から太田椋宮城大弥山下舜平大と3年連続でドラ1は高校生。昨年は上位3人が高卒と育成路線を貫くだけに、今年も“素材型”に重きを置くはず。若手主体のチームには投手、野手ともに若い逸材は多数いるだけにポジションにこだわることもなさそうで、指名の決め手は“将来性”が大きくなるだろう。スカウト陣の着眼点に注目したい。

■編成&スカウト一覧
氏名[担当地区]=主な担当選手
牧田勝吾[全国]=中川圭太(東洋大・内)
山口和男[全国]=山本由伸(都城高・投)
上村和裕[北海道・東北・関東]=頓宮裕真(亜大・内)
谷口悦司[北陸・関西]=太田椋(天理高・内)
□内匠政博[東北・北信越・関西]=村西良太(近大・投)
(新)小松聖[北信越・関東]
下山真二[東海・関西]=阿部翔太(日本生命・投)
乾絵美[中国・四国・関西]=来田涼斗(明石商・外)
早川大輔[中国・四国・関東・関西]=大城滉二(立大・内)
縞田拓弥[中国・九州]=宮城大弥(興南高・投)
★=編成部副部長、☆=グループ長

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