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【心揺さぶる名言】門田博光「調子がええときはバックスクリーンが一番近く見えるんや」

 


 以前、飛ばないとされる統一球が導入されたとき、その対策としてソフトボールや特注の重いボールを打ち込む練習法が注目を集めたが、それを40年ほど前の時点ですでに取り入れていたのが、歴代3位の通算567本塁打をマークした門田博光である。

 身長は172センチと大きくなかったが、1970年に南海に入団するや、持ち前のパワーで主軸打者に定着。その怪力から生み出されるスイングスピードは球界No.1の呼び声が高かった。

 プロ入り前の社会人時代には、足首の骨折で入院した際に病院にエキスパンダーを持ち込み上半身を鍛えたといい、プロ入り後も先述の打撃練習や、セメントを詰めたバケツを持ち上げるなどオリジナルの鍛錬法でパワーを培った。

 79年に右足アキレス腱断裂の大ケガを負ってからは、さらに拍車がかかったようにトレーニングに打ち込み、88年には40歳にして44本塁打、125打点で2冠を獲得。「不惑のアーチスト」の名をほしいままにした。

「僕のスイングは、フォームで打つとか、そういったもんじゃない。パンチショットとでも言うのかな。投球をたたき割るんだ、投球を」

 それが体格的な不利をはね返してみせた打撃の神髄。オリックス、ダイエーと渡り歩いた現役時代晩年に語った「調子のええときはバックスクリーンが(右翼席、左翼席よりも)一番近く見えるんや」という言葉もケタ外れのパワーを物語っている。

 多くの打者が統一球に負けないパワフルな打撃を求め格闘する昨今は、門田のような怪物級の打者を生み出す一つの契機なのかもしれない。

写真=BBM

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