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【MLB】地区シリーズで上位球団があっさり敗退の異常事態。解決策はあるのか

 

シーズン101勝を挙げア・リーグ東地区を制したオリオールズだったが、地区シリーズは3連敗で敗退。5日間のブレークが影響したのか……!? 今プレーオフは100勝以上のチームがすべて地区シリーズで敗退した


 MLBの地区シリーズで、上位シードチームが次々に敗退した。ア・リーグ第1シード、藤浪晋太郎の所属するオリオールズは第5シードのレンジャーズに3連敗。ナ・リーグ第2シードのドジャースも第6シードのダイヤモンドバックスに3連敗した。ナ・リーグ第1シードで、公式戦最多の104勝、優勝候補筆頭だったブレーブスも第4シードのフィリーズに1勝3敗で敗退となった。

 現行の各リーグ6チーム、ワイルドカード・シリーズから始まるポストシーズンのフォーマットは昨季から始まった。MLB機構は公式戦で成績が良かった2チームがポストシーズンでアドバンテージを得られるように、第1ラウンドは不戦勝とし、地区シリーズでもホームフィールドアドバンテージを与えた。

 不戦勝になることで、選手は休養が取れ、ケガも癒せる。第1戦はエースを起用、ベストの先発ローテーションで戦える。ところが結果的にこのフォーマットがディスアドバンテージになっている。公式戦が終わってから地区シリーズまで5日間も開き、選手はすぐにエンジンがかからないからだ。

 一方で公式戦の最後までポストシーズン争いをし、休まずにワイルドカードを勝ち上がった挑戦者には勢いがある。2022年もシーズン成績上位だったドジャースとブレーブスは苦杯を喫していたから、今回は周到に用意をしたはずだ。中5日の間にファンをスタンドに入れてシミュレートゲーム(実戦形式試合)も行った。

 しかしながら格下のチームに押されっぱなしだ。MLB機構はこの結果に頭を抱えている。下位球団が上位球団を破る下克上もたまには良いが、これでは何のために162試合の長いペナントレースを戦ったのか分からない。

 オリオールズのブランドン・ハイド監督は「5日間も開いたことで、戦いが不利になったかどうかは分からない。ただし、これまで続けてきたルーティンとは違った形で準備をすることになった」と悔しがる。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は「5日間のオフは理想的ではないが、このフォーマットに決まっているわけで、そのこと自体われわれにできることは何もない。ただ数日間なら良いけど、5日間は少し……」と歯切れが悪かった。

 ちなみに21年までは各リーグ5チームがポストシーズンに進出、第4シードと第5シードがワイルドカード・ゲームの1試合で決着をつけ、生き残ったほうが地区シリーズに進んだ。上位チームは3日間待つだけで良かった。しかし中5日は長い。4月の開幕から6カ月間、メジャー球団は毎日のように試合をする。唯一休みが続くのはオールスターブレークだが、それでも中4日だ。

 それであれば日本のCSファイナルステージのように、上位球団にあらかじめ1勝のアドバンテージを与えればと思うが、そうすると中継試合が減り、リーグの収益も減るため、賛同を得るのは難しいようだ。再拡大で各リーグ8チームがポストシーズンに出る形にすれば、全球団が間隔を空けずに戦えるが、そうなると全部で16チームとなり、ポストシーズン進出の価値が薄まる。

 現状、良い方法を見つけるのは困難だが、何とかすべきなのである。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

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