週刊ベースボールONLINE

至高の打撃バイブル

張本勲・中西太・落合博満、…球史に残る好打者たち、その技術に迫る

 

「野球の打撃術は1人1理論」と言った人がいるが、打者の数だけ理論があるということなのか。そう言われても「それは違う」と言い切れる人は少ないだろう。それほど打者たちは個性豊かなのだ。しかし、それでは話は進まない。ナントカ蛇に怖じずで、ホームラン打者を中心に、あえて強打者のタイプ分けをやってみた。そこから、何かが見えてくるかもしれないと思ったからだ。(文中敬称略)
文=大内隆雄

ホームランには角度と技術が必要。兼ね備えた打者はまれだ。落合、野村が数少ないその打者


 もう30年ほど前になるが、“浪人中”の長嶋茂雄巨人監督(現終身名誉監督)に西武秋山幸二外野手(前ソフトバンク監督)との対談をお願いしたことがあった。その席で長嶋元監督は、「秋山君は本当のホームランバッターだね」と言ったあと、「僕がワンちゃん(王貞治巨人監督=当時、現ソフトバンク会長)に長打力で及ばないのは、バットとボールが当たる角度なんだね。ワンちゃんの角度は打球がホームランになる角度なんだ。僕はそうじゃなかった。これはどうしようもないことなんでね」と続けた。

 ミスター・プロ野球の言である。これは、文字どおりに受け取ってよい。この角度を持ち、しかも、長い選手寿命を保った選手が、通算ホームラン数の上位者となるワケである。それでも、長嶋のようにホームランになる角度を持たない打者でも、444本もの本塁打を積み重ねることができたのは、ホームランにする技術を持っていたからである。例えば、右翼ポール際に落とす一発。これはミスターの名人芸だった。

 ホームランを打つには、このように角度と技術が必要になるのだが、両方を備えた打者はなかなかいない。長嶋が秋山を「本当のホームランバッター」と言ったのは・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング