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梶谷隆幸 リードオフマンの野心

 

キャプテンの筒香嘉智と並んで、DeNAを勝利に導いていく立場にあるのが梶谷隆幸である。言葉よりプレーや態度でチームをけん引。まさにこの“リードオフマン”の存在なくして、CS進出、そして優勝は見えてこないだろう。チーム再浮上のカギを握る男が、勝負の後半戦に向けて語った。(取材日7月20日)
取材・構成=滝川和臣 写真=馬場高志(インタビュー)、BBM

詰まるくらいなら“泳いで”打ちたい


インタビューを行ったのは後半戦の幕開け前。チームは前半戦を首位ターン、自身は前半最後の巨人3連戦で2本塁打を放ち、数日前には初の球宴も楽しんだ。それでもDeNAの屋台骨を支える男は、目前の状況に浮かれることなく、ハキハキとこちらの質問に答えてくれた。

──初めて出場したオールスターはいかがでしたか。他球団の選手と交流を図る機会はありましたか。

梶谷 プレー自体はすごく楽しかったですね。もともと同世代の、広島の選手とはよく話す仲で、マル(丸佳浩)、キク(菊池涼介)、広輔(田中)とは気楽にやれましたね。僕の地元(島根)が近いということもあって、自主トレを広島でやっていますから。貴重な機会なので、阪神の鳥谷(敬)さんにいろいろ聞きたかったんです。

──鳥谷選手に何を聞きたかったのでしょうか。

梶谷 メンタルの部分がすごく知りたかった。鳥谷さんは、たとえ三振をしても表情一つ変えずに淡々とプレーをされています。ベンチにサッと帰って、守備に就いても引きずった印象を受けないんです。気持ちの切り替えというか、どういう感覚で試合に臨んでいるのか、すごく興味がありました。でも、鳥谷さんは試合に出っ放しで質問するチャンスがありませんでした。だから、記念に写真だけ一緒に撮ってもらいました(笑)。別の機会に聞いてみたいと思っています。

──オールスターでは2試合で4安打。打撃は前半戦の最後、巨人3連戦(7月13日〜15日、横浜)で手応えをつかんだように見えました。

梶谷 調子を落としていたので、中畑(清)監督が気持ちのリフレッシュも含めて「頭で考えずにいってこい」と三番から一番に打順を替えてくれた。あの試合は、狙い球を絞らずに真っすぐに合わせ、来たボールを打つという意識でした。ホームランか、三振か、ぐらいの開き直った気持ちでした。初戦のホームランは風にも乗ってスタンドイン。まだ野球の神様は僕を見放してはいませんでしたね。それまでは、カウントによって「このボールが来るんじゃないか」と迷って差し込まれたり、考え過ぎてしまい、頭で整理できないときもありましたが、吹っ切れましたね。

バッティングで正解を導き出すのは難しい。後半戦も悩みながら、打席を重ねている



──今シーズン、試合前に高木豊さんが付きっきりでティーを上げ、アドバイスをもらっていた場面が印象的でした。

梶谷 あれは6月ごろだったと思います。やはり打撃の調子が悪くて、豊さんがコーチを務めていた当時(2012〜13年)に取り組んでいたことを一緒に再確認をしていました。13年に2カ月で16本塁打を打ったときの練習方法や、忘れていた感覚を思い起こす作業です。主にティー打撃をやりながら、ステップした右ヒザへの体重の乗せ方をチェックしていたんです。よく打撃について「詰まることを恐れるな」と言う人がいますが、僕は詰まるのがダメで、むしろ“泳いだ"ほうがいい。どちらかと言えば“拾いにいく"ぐらいの感覚のほうが、ヒットも飛距離も出る。そうした部分の反復練習ですね。自分でもそう思いますが、僕の打撃フォームはクセがある。バットを寝かせて、グリップを一度ヒッチさせてからスイングするイメージなんです・・・

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