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特集・ドラフト候補の決断に迫る!

評価急上昇中の社会人右腕・近藤大亮

 

過去10年、セ・パ両リーグの新人王を見ると16人が投手で、うち6人を社会人経験者が占めている。中長期的な視点で見れば、若い素材を育てるべきだが、即効性を求めるならば、場数を踏んだ社会人は外せない。なかでもジワジワと評価を高めるパナソニック・近藤大亮がおもしろい。侍ジャパン社会人代表にも名を連ねる要注目の剛腕を紹介しよう。
取材・文=大平 明 写真=足立雅史

勝てる投手に――。


「自分は今を全力でやるだけです」とドラフト前の心境を語る



 分かっていても打てないストレート。これが。パナソニックのMAX151キロ右腕・近藤大亮(大商大)の最大の武器だ。

「大学のころから、良いストレートを投げるためにリリースを意識するようにしました。ボールをリリースしたときに100パーセントの力が伝わるように、最初は脱力しておいて、最後の離す瞬間に力を入れる。そうやって、指先がビュッと走るようなイメージで、キャッチボールのときから気をつけて投げています」

 大阪ガスの補強選手として出場した今夏の都市対抗では、1回戦の東京ガス戦で1点リードの6回から登板。140キロ後半の直球を軸に、優勝候補の東京ガス打線をまったく寄せ付けない圧巻のピッチングを見せた。本人も「真っすぐで押した」と話すとおり、あまり変化球を使うことなく、配球はほぼストレート。当然、バッターも狙ってきたが、空振りやファウルで前に飛ばすのも一苦労といった様子だった。結局、9回までの4イニングをきっちりと無失点に抑え1安打5奪三振。内野フライも4つあったのは、ボールが伸びていた何よりの証拠だろう。

 準々決勝のJR東日本東北戦では先発のマウンドに上がった。先頭打者の初球から146キロのストレートを投げるなど、この日は最速148キロをマーク。6回には失投から一発を浴びたものの、後続の打者2人を内角直球の見送り三振と、外角直球の空振り三振に退け、簡単には崩れないところを見せた。しかも、この試合はストレートもさることながら、変化球も効果的に決まり、6回を投げて奪った三振は9個に上った。

「三振の数はまったく気にしていませんでしたが、フォークボールがうまく決まっていたので、多く取れたんだと思います」

 しかし、大阪市対決となった日本生命との決勝では、思うような投球ができなかった。3点リードした7回一死満塁のピンチで登板すると、いきなり死球で押し出し。次打者にはセンターに犠牲フライを打たれて2点を失うと、8回には四球で出した走者をセンターフェンス直撃の三塁打でかえされ、同点に追いつかれた。この試合でも威力のある直球で三振を2つ奪い、球速は最速で150キロに到達したが、無念の降板となった。

「自分のボールは投げられていたと思うのですが、力が入り過ぎてしまったというか……。大阪ガスさんに補強選手として選んでいただいたのに、その期待に応えられなかったのが、本当に悔しいです」

 この屈辱を晴らすべく、夏のトレーニングで近藤が取り組んだのが投球の正確性を上げること・・・

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