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特集・2015プロ野球大記録集

西武・田邊徳雄監督が徹底解説「秋山翔吾の天分」

 

史上6人目(7度目)のシーズン200安打をクリアすると、9月30日には阪神マートンが2010年につくった日本記録と並ぶ214安打を達成。あとは日本記録更新が注目される秋山翔吾。昨年まで4年間の自身シーズン最多安打は2013年の152。今年はそこから大きく安打数を伸ばしたわけだが、飛躍の理由はどういった点にあったのか。かつて打撃コーチを務め、現在はチームを率いる指揮官に聞いた。
取材・構成=小林光男 写真=桜井ひとし
成績は9月27日現在

田邊監督は「今年はポテンヒットでも、一塁ベース上でうれしそうな顔をしている」と秋山を語る



 カキーン、カキーン。今年の南郷春季キャンプ。快音を轟かせながら、西武ナインがバッティング練習で汗を流す。各自が課題を克服しようとバットを振っているが、秋山翔吾の飛ばす打球の変化に田邊徳雄監督は気がついた。

「異様に反対方向へ打ち返す打球が増えたな……」 森友哉を参考にして昨年までとは違い、グリップエンドを下げ、バットを寝かせた構えから思い切り引っ張るのではなく、レフト方向へ流す。深刻な打撃不振に悩み結局、打率.259、4本塁打、47打点とまったく納得がいかない成績に終わった昨年からの意識の変化が見て取れた。

 そして、それが今年、開幕からヒットを重ね、6月から7月にかけて史上3位タイの31試合連続安打を達成、さらに9月13日のロッテ戦(西武プリンス)では史上6人目のシーズン200安打をマークした礎となったのは間違いない。

シーズン200安打達成者

※△は左打ち、□は両打ち



格段に増えた左方向への打球


田邊 今年はバットのグリップエンドを下げたことでバットが出やすくなり、普通なら引っ張る真ん中や内角寄りのボールもおっつけて反対方向に打ち返すようになった。本人の中で「ボールの内側を打つ意識」があるようだけど、それを試みた結果、バットのヘッドを返さずにボールをとらえることができるようになったことが大きい。

 ボールの内側をたたくにはヘッドを返さない打ち方をするしかない。打つ前にヘッドを返してしまえば外側を打って一、二塁方向へと詰まった打球になってしまうわけだから。少々差し込まれてもバットのヘッドを遅らせて、より芯で近いところで打てて、角度を保ったままボールを押し込むことが可能になった・・・

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