現役時代活躍できなかったという強い思いと、期待してもらっていた方々へ、恩返しができなかったという思いを胸に、セカンドキャリアで、その思いを返していこうと不動産業に飛び込んだ元オリックスの高島毅。不動産の奥深さを知るたびに、新しい喜びと面白さを覚えている。そして、その知識がお客に喜びを与えることも知った。 不合格で野球を辞める理由を考え出した
電話口に出た声は、携帯を耳から離さないといけないほど、大きく、ハキハキしていた。そして、久しぶりに会った高島毅は笑顔に満ち溢れていた。
「どうも、ごぶさたしています。(体が)大きくなったでしょう、アハハハハ!」
ネクタイ姿で、現役時よりも少しふっくらとなったその姿は、現役時代の練習、試合中に見せていた厳しい視線とは180度違う、トゲが抜け、全身から優しさがにじみ出ている、大阪弁を大きな声で語るサラリーマンだ。
実家は高島の幼少のころから不動産業を営んでいた。しかし、子どものころから不動産に慣れ親しんでいたという感じはなく、逆の感情があった。
「両親は毎日、家に帰ってくるのも遅いし、土日もなく働いているし、僕にとっては興味をそそられることはまったくなかったんです。将来は土日が休みの職業がいい、と思っていたくらいですから」
2011年オフにオリックスを戦力外となり、現役続行を希望しアメリカに渡った。しかし1年目はビザが下りず、独立リーグの練習生としての扱いだった。翌年はビザが下り、1年間プレー。帰国後
西武の秋季キャンプに練習生で参加も不合格になった。2年間独立でプレーしたハングリー精神があれば、もう一度チャンスを狙うところだったが、不合格後、野球への情熱が薄れていることに気が付く。
「それまでは、野球を続ける理由を考えていたんですが、不合格直後から野球を辞める理由を考え出したんです」
そう思い出した1週間後には現役引退を自身のFacebookで発表。そこからセカンドキャリアを何にするのか─すぐには思いつかなかった。
「最初に整体師を考え、飲食店やタクシー運転手も良いなあ。そして『探偵』がいいなあ、と思ったんです。でもよく考えて『新しい職業が探偵です』はおかしいのでやめました(笑)」
熱意で克服していくセカンドキャリア
さまざまな職業が浮かんでは消えた。その中で、高島自身、プロになるまでに親や多くの人たちに支えられてきた。「現役時代はまったく活躍してないので・・・
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