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あの東大、京大の牙城の岩波が『早稲田大学』を出す時代
プロ野球の岩波=巨人もファンを驚かせてほしい

 



 先週号では、野球好きの作家の名を思いつくまま挙げてみたが、なんか1人大事な人を忘れていたような気がして気になっていたのだが、岩波書店から現代文庫の1冊として、あの『人生劇場』で有名な尾崎士郎の『早稲田大学』というのが出たのが目に入った。「アッ、尾崎さんだった!」と、忘れ物を発見してうれしくなったのだが、これはとんだ勘違い。この人は、大の相撲ファンで、息子さんに「俵士」という名をつけるほどで横審の委員も長く務めた。

 尾崎さんは母校・早稲田のことはいろいろ書いても、野球のことはほとんど書いていない。しかし、『早稲田』という本を見つけたのは“発見”だった。「岩波も、ワセダに手を出す時代になったか」という発見である。創業者の岩波茂雄が意識していたかどうかは知らないが、この出版社は、結果として権威主義的になっていた。岩波の著者、翻訳者は、東大、京大、東京商大(現一橋大)系が圧倒的に多く、たまに慶大。これは福澤諭吉と小泉信三に敬意を表してのことだろう。言ってみれば「慶応までは江戸の内」。早大は、津田左右吉が孤軍奮闘のおもむき。長らく“無視”されてきた学校だった。そこへ、尾崎さんの、その名もズバリ『早稲田大学』! 岩波の出版物に育てられたワセダ出としては、実に感慨深いものがある。

 で、野球の話になるが、プロ野球の岩波、巨人も、キューバだ、FAだもいいが、「ついにそこまで……」のビックリするようなことをやってほしいものだ。どこかで「原監督から早く松井、高橋由、上原体制へ」という原稿を読んだ記憶があるが、いっそ球団史上初の外国人監督はどうだろうか。

 そう、デーブ・ジョンソン(75〜76年巨人在籍)を引っ張ってくればいいのだ。86年にはメッツで世界一監督になっている。長嶋茂雄監督(右)とは相性が悪かったが、日本との相性は悪くない。
文=大内隆雄
おんりい・いえすたでい

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過去の写真から野球の歴史を振り返る読み物。

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