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第88回選抜高校野球大会

 

第88回選抜高校野球大会の選考委員会が1月29日、大阪市内で行われ出場32校が決まった。21世紀枠では小豆島高(香川)ら3校が選出。一般選考枠では昨秋の神宮大会覇者・高松商高(香川)、史上3校目の春連覇を狙う敦賀気比高(福井)ら29校が選ばれた。注目の組み合わせ抽選会は3月11日、大会は同20日から12日間(準々決勝翌日の休養日含む)、阪神甲子園球場で行われる。

瀬戸内海に浮かぶ小規模校へ吉報


小豆島は21世紀枠で春夏通じて初の甲子園出場。1月29日の選考委員会当日、新3年生8人はスキー研修[北海道]からの移動中に朗報が入り、フェリー[写真]で草壁港へ到着したのは午後9時30分過ぎ。港で待機していた杉吉監督、新2年生11人(女子マネージャー2人含む)らと喜び合った/写真=早浪章弘



 瀬戸内海に浮かぶ小豆島は「日本の地中海」と言われ、オリーブの産地として有名である。人口約1万5000人の小豆島町が沸いたのは午後3時過ぎ。1月29日のセンバツ選考委員会で、小豆島高が21世紀枠で選出。その出場の連絡が学校に入った。同校野球部は部員19人で選手は17人という小規模校だ。来年4月には小豆島に2つある高校うちの一つ、土庄高と統合して「小豆島中央高校」として新たなスタートを切ることが決まっている。小豆島高は昨秋の香川県大会を初めて制し、四国大会へ出場。21世紀枠の県推薦から四国地区の推薦を受け、“三十四の瞳”として注目を集めてきた。

 1月29日、吉報が届いたものの、学校には杉吉勇輝監督以下、部員11人しかいなかった。岩澤正俊校長から「センバツ出場決定」の一報を受けた部員たちは、まずは喜びを爆発。「決まったぞ!!」と絶叫した杉吉監督の胴上げが行われた。吉報を受けて、学校体育館には約100人の町民が祝福に駆け付け「本当に島民の方がこれだけ喜んでいただいて、僕もグッと来ました」と、杉吉監督も感情を抑えることができなかった。

 しかし“役不足”は否めない。新3年生8人は北海道でのスキー研修を終え、香川へ戻る日だったのだ。当初は羽田空港から高松空港へと乗り継ぎ、陸路で高松港へ移動。そこからフェリーで小豆島の池田港へ到着する予定が組まれていた。しかし、この日は香川が悪天候に見舞われ、羽田からの高松便は朝から欠航が続出。確実に帰れる方策を考え、岡山空港に経路を変更した。当初は高松空港で記者会見が設定されていたが、これも中止。岡山空港からバス移動で高松港へ、バタバタの中で1時間遅れの9時30分過ぎに草壁港へようやく到着した。ここでついに全部員19人が合流。再度、杉吉監督らの胴上げが行われ、春夏通じての甲子園出場を改めて実感した。

 島内には防災行政無線でニュースが流れ、フェリーで到着した選手たちを島民約300人が出迎え、盛り上がった。「選手とスタンドが一体となってエンジョイベースボールをやりましょう!」。2009年に就任した杉吉監督は丸亀高で甲子園に出場し、慶大では二塁手として、4年春の早慶戦では満塁本塁打を放ったこともあるキャリアの持ち主。卒業後は大手都市銀行に就職するも、高校野球指導者の道を捨て切れず、地元へ戻って教員を志した熱血漢である・・・

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