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両リーグの真剣勝負の場でなくなった球宴のあり方を考える

 

今年のオールスターゲームは7月17日に東京ドーム、18日は広島のマツダスタジアムで行われる。かつては両リーグの対抗意識を燃え上がらせたオールスターだが、最近は交流戦にお株を奪われ、両リーグの対抗という意識は薄れた感じである。勝負は二の次で、単なる顔見せになろうとしているオールスターのあり方を考えてみたい。

「人気のセ」「実力のパ」
対抗心に燃えていた時代


1972年のオールスターからの1枚。長嶋茂雄王貞治らのスター選手はベンチに退くことなく、試合に出続けることが当時は当たり前だった



 かつてはセ・リーグに比べ、人気の点で劣っていたパ・リーグにとってオールスターはその存在を世間にアピールする絶好の機会で、それが結果に表れていた。

 パ生え抜きの南海の鶴岡一人監督(56年までは山本姓)は、オールスターになると選手の士気を鼓舞していた。監督として出場9度の鶴岡監督は、23試合に17勝4敗2分けの驚異的な成績を収めていた。特に第1戦には8勝1分けと一度も負けたことがない。60年の第3戦から66年の第2戦まで監督として1分けを挟んで7連勝していた。

 したがってパは鶴岡監督が采配を振るった67年までは17勝9敗。オールスターには強いとの評判をとっていた。60年代まで28勝17敗で3分けと、強かったパだが、現在の成績は80勝75敗で10分けとその差は縮まっている。70年代、80年代はわずかながらでも勝ち越していたが、90年以降の10年ごとの成績はいつもセが勝ち越している。



 セに対するパの強さがいつの間にか失せてしまった。97年の第2戦からセは○○△○○○○○○と、00年まで1分けを挟み8連勝。その間、パは1回に得点したのは99年第1戦でイチロー(オリックス)が本塁打を打った1試合のみ。先制したのも2試合しかない。かつては「実力のパ」と言われていたが、いつしか「人気も実力もセ」になってきた。

 90年代はセの12勝8敗3分けであり、00年からの10年間もセの14勝7敗1分けだ。05、06、07年と毎年0勝2敗。09年からは14年にかけては、1対1で引き分けた13年を除いて、毎年パは第1戦に負けている。昨年の第1戦は西武ドームでパの本拠地の試合にも関わらず0対7の完敗。クリーンアップトリオは合計12打数0安打である。

 なにもオールスター戦で頑張らなくても、パの強さは交流戦で証明済みというわけか。05年に開始された交流戦でもパは今年を含めて11年間のうち10年間で勝ち越しをしている。今年はさらに61勝44敗3分けと大きく勝ち越しただけに、オールスターでもさらにどうなるのだろう。

いつからかショーとなったオールスターゲーム


 かつては勝負が目標になっていたオールスターも最近は変わってきている。勝負よりも・・・

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