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若い選手が伸びていくのは楽しみで仕方ない。山田、筒香、江越、彼らの成長をしっかり見つめていくわ

 

右肩上がりの成長を見せるヤクルト・山田とは不思議な縁が


 夏の高校100年……です。記念の大会で、甲子園で球児の熱い戦いが始まった。オレも幼いころから甲子園を目指して、野球に明け暮れたものよ。望みどおりに北陽高で甲子園に出場できたし、その後、プロに進んでいく原点になった舞台でもあった。

 いまでも高校野球は必ずテレビ観戦している。それは今も昔も変わらない。現役時代も注目していたし、監督になってからも、時間がある限り、テレビの前に座って、観戦していたものよ。それで思い出すことがある。阪神の監督時代だ。遠征先で甲子園大会を見ていたら、「オオッ」と思わず声が出るほどの選手を見つけた。大会前もそれほど騒がれた選手ではない。それでもショートの守備力の高さに驚いた。この選手は必ずプロでもいける。オレの直感だったわ。動きが俊敏で、守りのフットワークが素晴らしい。

 そこで、すぐにスカウトに連絡したんよ。鹿児島の樟南高の前田大和、この選手をドラフト候補としてリストアップしてほしい……と伝えたんよな。そう、阪神の大和のことよ。監督目線で、これは! と思う選手に出会ったってところやな。そしてその年のドラフトで、大和を指名して、入団にこぎつけた……というストーリー。こういうのも「縁」なんやろね。

 だから今週の週ベの特集テーマである次世代のスターという点において、甲子園に原石が眠っているということもあるんや。大谷(翔平)や藤浪(晋太郎)のように、次世代のスターとしてピッチャーにはそれなりの人材は存在するけど、野手に関しては、なかなか出てこなかった。そこが寂しいところだったけど、オレが若さにあふれたスター候補として、注目しているのがヤクルト山田哲人である。プロ5年目で今年は、すべての面でスケールアップしている。ホームランが打てて、多くの盗塁もできるオールラウンドプレーヤーだが、この山田に関しても、オレと少しばかりの縁があるんよな。

 2010年のドラフト会議。オレはオリックスの監督として会議に臨んだんやけど、1位指名のところで、まず抽選で負けた。続く外れ1位でも競合して、またクジを引けず、3回目の1位指名で履正社の山田を指名したんよ。まあ、ここは単独でいける……と判断したわけだが、ここでもヤクルトと重なった。また抽選よ。そこでまたオレは負けた。

 もし、あそこでオリックスが山田を獲得できていたら、山田のプロ人生は大きく変わっていただろう。現在の山田のすごい働きを見るたびに、不思議な巡り合わせを感じずにはおれない。

 山田のバッターとしての良さは「振れる」というところよ。高校時代から「巧打者」という評価で、決してホームランバッターというものではなかった。しかしヤクルトに入団して最初の1年。ファームでみっちりと振り込んだんやと思う。それがスイングの鋭さに出ているわ。確実性があって、もともと高い打率を残せるバッター。そこから本塁打を増やしていった。まさに理想的な成長の過程なんよ。高い打率を残し、そしてホームランも打てる。こういう選手はなかなか出てこない。オレはこれからリーグを代表するスター選手になる……と確信する。それほど山田は理想の右肩上がりの成長を遂げているわけなんよ。

筒香もスターになる存在
江越は確実性を増していけ!




ヤクルト・山田(上)はオリックス監督時代にクジで外しているんよね。今は振り込んでホームランも打てる打者に。一方筒香も左へ打てるようになった。彼らの成長は楽しみやわ



 もうひとり、次の世代のスター打者として期待している選手がいる。DeNAの若き四番・筒香嘉智のことよ・・・

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岡田彰布のそらそうよ

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選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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