プロ野球で監督&コーチの経験がないまま就任した一軍監督が、なかなか開幕戦で勝つことは難しい。だが第36代タイガースの新指揮官は、信念を貫き、見事な試合運びで勝利を呼び込んだ。就任以来、多くの伏線を引き、そして見事な采配を見せた開幕戦に迫る。 取材・構成=田中政行(デイリースポーツ) 写真=井沢雄一郎 
監督として初めての投手交代は自らの足でマウンドへ。9回途中まで投げた村上に優しく話しかける
対話重視から……
開幕戦に勝利した
藤川球児新監督は、試合後、少しだけ余韻に浸るように笑っていた。
「ここからは24時間、監督になる。私はない――」
昨年10月15日。第36代
阪神タイガースの監督に就任し、伝統をつなぐ責務を全うすると決意してから164日。歴史の1ページに白星を刻み、少しだけ“私人”に戻ったか。最後を締めた
岩崎優から勝利球を手渡されると、「家に記念球は1個もない」と一度は先発の
村上頌樹に譲った。だが、再び「監督に」とプレゼントされ大事そうにポケットにしまった。
「これからは勝ちにこだわっていく。皆は個人の成績にこだわって伸び伸びとやってくれたらいい。ただ、オレは勝ちにこだわっていく」
3月28日。
広島との開幕の日(マツダ広島)を迎え、広島市内のチーム宿舎で・・・
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