フリップ芸でファンを魅了するなど、マスコットに魂を吹き込むこと30余年。人気者を作り上げた功労者が旅立った。 
デビュー当時はスリムだったが、いつしかおなかが膨らんだフォルムに成長。愛らしい体型も人気の一つだった[写真=矢野寿明]
ヤクルトは2月19日、球団マスコットのつば九郎を支えてきた社員スタッフが永眠したことを発表した。6日には体調不良が公表され、4月中旬までのイベントが中止となっていた。1994年にデビューし、2022年には主催試合2000試合出場を達成。昨年はデビュー30周年の節目を迎えていた。今後の活動はしばらくの間、休止となることも発表されている。突然の訃報に、SNS上では悲しみの声があふれた。
懐かしいヒット曲に乗せて体を揺らす。ひらがな限定のフリップ芸は時事ネタをふんだんに盛り込み、笑いと苦笑いを誘う。試合前には敵味方を問わず選手と談笑。世界中を見ても珍しい、人格を持ったマスコット。信念は「とにかくじぶんがたのしむこと」だ。
試合のイニング間に行われる『空中くるりんぱ』では観客の視線を一点に集め、オフには契約更改で話題を独り占め。主演作品で俳優デビューを果たせば、冠番組ではバラエティー能力の高さを発揮。女性誌で表紙を飾るなど、球界の枠を超えた人気者となっている。
つば九郎にとって、マスコットとは「ふぁんとちーむのかけはし」。スタッフは体調を崩すまで、ブログを毎日更新し続けた。唯一無二のキャラクターを作り上げた功労者は旅立ったが、つば九郎はいつまでもファンとチームをつなぐ架け橋であり続ける。