第97回選抜高校野球大会の組み合わせ抽選会が3月7日、大阪市内で行われ、出場32校の1回戦の対戦校が決まった。初日から見逃せないカードの連続。大会は18日に阪神甲子園球場で開幕し13日間(準々決勝、準決勝翌日の休養日を含む、雨天順延)、計31試合の熱戦が展開される。 
抽選会には多くのメディアも集まり、会場内は熱気に包まれていた
東京シリーズと同日開催
開幕試合を引き当てたのは20年ぶり出場の柳ケ浦高と、昨秋の東京大会を制した二松学舎大付高である。かつて関東学院大を率い、2022年8月に柳ケ浦高監督に就任した鈴木聡監督は「開会式直後でお客さんも入ると思いますので、独特の雰囲気の中で試合の『入り』がポイントになる。二松学舎大付高さんは伝統のあるチームなので、胸を借りるつもりで戦いたい」と語った。母校・二松学舎大付高を率いる市原勝人監督は「(開幕試合の)前回(02年)は初戦(大体大浪商高)で負けたので、今回は勝ちたいです」。開幕日は同校出身の
鈴木誠也が所属するカブスとドジャースの開幕戦(東京ドーム)が行われる。市原監督は「何かの縁なんでしょうね。両方勝てば、皆さんがいろいろ言ってくれると思う」と必勝を誓った。
第2試合では花巻東高が米子松蔭高と対戦。ドジャース・
大谷翔平の東京シリーズを前に初戦が組まれ、佐々木洋監督は「そういう気持ちもありますけど、今はただ余裕がないです」と、目の前の一戦に集中する。指揮官は「飛ばないバットで投手有利。やりにくいチームだと思います」と、相手校を警戒した。第3試合は昨年、初優勝を遂げ、史上4校目の春連覇を狙う健大高崎高と、昨秋の四国王者・明徳義塾高による1回戦屈指の好カードが組まれた。健大高崎高の158キロ右腕・石垣元気(3年)と明徳義塾高の左腕・池崎安侍朗(3年)の好投手対決も見ものだ。
大会2日目の第2試合では昨年11月の明治神宮大会を制した横浜高が市和歌山高と対戦する。抽選会前日のキャプテントークでは最多11校が優勝候補に挙げた。横浜高・村田浩明監督は「そうは思っていない。勝ったチームが強いんです。市和歌山さんはバッテリーを中心とした守りが堅い印象です。名門と呼ばれる学校はあいさつ、取り組み、姿勢、すべてが優れている。(名門を)維持するのは難しい。そこばかりを話しています」と、勝負を挑む前に立ち居振る舞いの大切さを訴えていた。
21世紀枠2校に注目!!
21世紀枠で春夏通じて初出場の壱岐高は、昨年の明治神宮大会4強の東洋大姫路高と対戦。離島から初陣となる壱岐高・坂本徹監督は「最高の思い出にするのではなく、今後の人生につながるような試合にしてもらえたら。思い切ったプレーで島民の皆さんに喜んでもらえたらなと思います」と語った。147キロ右腕・阪下漣(3年)を擁し、初めて甲子園で母校を指揮する東洋大姫路高・岡田龍生監督は警戒する。「履正社のとき(14年のセンバツ初戦で小山台高と対戦)21世紀枠の学校と対戦したが、あのときも好投手(
ソフトバンク・
伊藤優輔)がいてやりづらさがあった。相手は応援もすごいし、一体感もある。さらに初戦の難しさもあるので、どう対応できるか」と話した。

21世紀枠で春夏を通じて初出場の壱岐高は1回戦で東洋大姫路高と対戦する
神奈川勢で初めて21世紀枠に選出された横浜清陵高は古豪・
広島商高と対戦。横浜清陵高・野原慎太郎監督は「難しいチームに挑戦していくのが、神奈川で戦ってきた野球。私たちが挑戦していくには、ふさわしいチームです」と覚悟を示した。
春夏通じて初出場の千葉黎明高は伝統校・智弁和歌山高と対峙(たいじ)する。拓大紅陵高の捕手として02年夏、04年春のセンバツを経験している中野大地監督は「どんな環境でもウチのセオリーを大事に、やるべきことを明確化してきました。自分たちの空間をつくろうと、雰囲気、声掛けをやってきた。心は動くものですが、変わらずに取り組んできたことを甲子園でも出したい」と平常心を強調した。
早実と高松商高による古豪対決も注目だ。センバツの第1回大会決勝(1924年)、翌25年夏の選手権決勝で対戦し、いずれも高松商高が勝利している。両校は100年ぶりに顔を合わせる。
なお、選手宣誓は32校の抽選により、市和歌山高・川邉謙信(3年)に決まり「堂々と熱いメッセージを送りたい」と意気込んだ。

選手宣誓は出場32校の抽選により、市和歌山・川邉主将が務める
閉会あいさつでは日本高野連・寶馨会長が出場32チームに、試合に臨むにあたっての心構えとして「虚心坦懐」「質実剛健」「用意周到」「臨機応変」を丁ねいに伝えた。

日本高野連・寶会長は閉会のあいさつで、出場校にメッセージを送った
■第97回選抜高校野球大会組み合わせ 
※丸数字は出場回数
3月18日[火]から13日間、準々決勝、準決勝翌日の休養日を各1日を含む。雨天順延。阪神甲子園球場