
再建を託された新井新監督にとって、カープは家族だ
母校・駒大野球部のOB会主催の激励会で、
新井貴浩監督は力強い言葉で所信表明した。「勝つことと育成の両立は難しいと言われているけど、高い次元でできるようにしたい」と自らに言い聞かせるように、新たな戦いに目を向ける。
4年連続Bクラスに沈むチームの再建を託された。取り組むべき課題は多い。常勝カープを取り戻すため、真っ先に挙げたのは「若手の底上げ」だ。「3連覇(2016~18年)したときも若手、中堅、ベテラン、外国人のバランスがすごく良かった。若手だけでは勝てないけど、若手に力を付けさせることが大切」。22年秋のドラフトでは高卒右腕の
斉藤優汰を1位指名。編成においても、数年後を見据えたチームづくりは始まっている。
就任早々、育成と勝利の両立に向けた一手と言える改革を打ち出した。22年シーズン主に三塁でチーム唯一の全試合出場した
坂倉将吾を、捕手に専念させることに。負担の多い捕手だけに坂倉が中軸を担う打線に影響を及ぼしかねないが、「カープのために、勝つために、何がベストなのか」という考えの中での決断だった。
會澤翼をはじめ、ともにプレーした選手たちはベテランになった。自身が精神的支柱として3連覇を支えたように、ベテラン勢の奮起は優勝に欠かせない。一方で世代交代も求められた役割の一つ。「自分が苦しくても厳しいことを言わないといけないこともあると思う。でも、どんなときでもカープが強くなるために。そこを一番の基準に、そこだけはブレないように」。優しさと厳しさを発揮して、新時代を切り開いていく。
写真=宮原和也