1977年、今から40年前、大げさではなく、日本中がプロ野球に熱狂した時期がある。王貞治のハンク・アーロンが持つ当時のメジャー最多記録通算755号本塁打への挑戦だ。アーロンはブレーブス、ブリュワーズで76年まで現役を続けたホームランバッターだが、その引退翌年に王が世界記録を狙うのも、面白いめぐり合わせではある。週刊ベースボールONLINEでは、9月3日、756号の世界新記録達成までのカウントダウンを振り返っていく。 18時36分、第1打席に入るも四球

試合前、黙々と大鏡の前で素振りを繰り返す
「俺もこんなに興奮しているファンを見たことがないよ」
あのミスタープロ野球、
巨人・
長嶋茂雄監督が真顔で言ったのが、王貞治のホームラン世界新記録をめぐる狂騒曲だ。そして、その最終章がついにやってきた。
9月3日、後楽園球場入りまでの王を追う。当時の『週刊ベースボール』を見ると、びっくりするほど細かく描写しているが、とても収まりきれないので、抜粋しながら紹介する。
午前11時起床。まずは野菜ジュースをゴクリと飲み、新聞を読む。36分朝食。メニューはご飯2杯、タマネギが具の味噌汁2杯、ベーコン、笹かまぼこ、キュウリとナスの漬物、塩辛、白魚の入った大根おろし、ホウレンソウだった。
12時40分、家を出て40人ほどにサインしてから愛車BMWで球場へ出発。追跡の報道陣の車は6台だった。
13時23分、球場に到着し、頼まれたサインを書いたり、報道陣と雑談したり、日本女子オープンゴルフをテレビで見たりと、しばしリラックスした時間を過ごす。
15時35分、グラウンドに出て、ランニング開始。すでにスタンドは7分の入りで、王は歓声に時々右手を上げて応えながら走る。その後、50メートル2本のジョグ、2本のダッシュ、柔軟体操の後、ノックを受ける。
16時18分、フリーバッティング。50本スイング中、スタンドインは9本だった。
17時、選手サロンでてんぷらソバを食べ、両親と面会。その後、また頼まれたサインにペンを走らす。
ミーティングの後、17時45分からはシートノック、18時4分から15分までは大鏡の前で素振りをした。
18時20分試合開始。相手チーム、
ヤクルトの先発は右腕の
鈴木康二朗。王は一番・
柴田勲、二番・
土井正三の後の三番に入った。
18時36分、第1打席に入るも四球……。
<後編は19時10分公開予定>
写真=BBM