今年は10月25日に行われるドラフト会議。毎年、金の卵たちが、どの球団へ進むか大きな注目を集める“一大イベント”で、さまざまなドラマも生まれる。今年で54年目を迎えるドラフト会議の歴史を週刊ベースボールONLINEでは振り返っていく。 恩師との約束を果たした安楽

恩師・上甲氏の写真とともに会見に臨んだ安楽
2014年10月23日
第50回ドラフト会議
(グランドプリンスホテル新高輪)
[1位選手]
ヤクルト 竹下真吾(ヤマハ)
楽天 安楽智大(済美高)
DeNA 山崎康晃(亜大)
西武 高橋光成(前橋育英高)
中日 野村亮介(三菱日立パワーシステムズ横浜)
ロッテ 中村奨吾(早大)
広島 野間峻祥(中部学院大)
日本ハム 有原航平(早大)
阪神 横山雄哉(新日鉄住金鹿島)
オリックス 山崎福也(明大)
巨人 岡本和真(智弁学園高)
ソフトバンク 松本裕樹(盛岡大付高)
この年のドラフトがやや盛り上がりに欠けた。それは、本来はドラフトの主役であるはずの安楽智大の故障がある。甲子園の成績を見れば、まさに「怪物」だ。複数球団の争奪戦となってもおかしくなかったのだが、故障の不安もあって動く球団が少なく、ヤクルトの一本釣りが予想された。それでも前日まで有原航平の指名を明言していた楽天が急きょ入札して抽選となり、“後出し”の楽天が当たりクジを引き当て、入団となっている。
会見では9月に急逝した恩師・上甲正典監督の写真を掲げ、「監督さんとの1つの約束でしたドラフト1位の夢をかなえることができ、自分自身少しホッとしています」と語った安楽。このままで終わってほしくない男だ。
1位では、まずは即戦力と評価が高かった大学No.1右腕・早大の有原をDeNA、広島、日本ハム、阪神の4球団が競合し、日本ハムが獲得。12球団OKのスタンスだったが、日本ハムが決まった瞬間、思わずガッツポーズ。意中の球団の1つであったことがうかがわれた。

仲間たちに祝福される京大・田中。まさか3年で戦力外とは……
有原と同じく、早大からは攻守走がそろい、内外野も守れる中村奨吾がロッテに単独指名の1位で入った。中村は今季、フル出場を果たしてリーグ2位の39盗塁をマーク。確実に手ごたえをつかんだはずだ。2位は西の最高学府である京大から初のドラフト指名を受けた
田中英祐。しかし、昨季限りで戦力外通告を受け、わずか3年でユニフォームを脱いだ。
広島の1位は今季開花
チームとしての最大の成功はDeNAだろう。1位で守護神の山崎康晃を獲得。ベビーフェースだが、何度も何度も修羅場を経験しながら必死にはい上がる不屈の“亜大男児”だ。2位でも左腕の
石田健大(法大)、3位が遊撃手・
倉本寿彦(日本新薬)を獲得している。
西武では先発で一本立ちが期待される高橋光成、3位には内外野をこなして巧打、長打、快足を兼ね備えた超万能選手の
外崎修汰(富士大)。広島では
緒方孝市監督が足に惚れて今季開花した野間峻祥が1位で、2位には
薮田和樹(亜大)もいる。ほかはオリックス7位に
西野真弘(JR東日本)が16年にブレークした。
巨人の1位は今季、史上最年少の22歳で3割、30本塁打、100打点をクリアした岡本和真。残念ながら、いま時点では伸び悩みが目立つ。ソフトバンクは1位の松本裕樹はまだ完全ブレークとはいかない。一番厳しいのは、社会人中心にこだわった中日だ。エースナンバー20番をもらいながら昨季戦力外となった野村亮介が1位。全体で9人を指名したが、現状では誰も一軍に定着していない。
<次回に続く>
写真=BBM