背番号は、ある選手が引退しても、またある選手に受け継がれていく。2019年も新たな後継者が誕生した。その歴史を週刊ベースボールONLINEで振り返っていく。 捕手と救援投手の二大勢力
美しい弧を描く本塁打を量産して“ホームラン・アーチスト”と呼ばれた阪神の
田淵幸一が着けてから、捕手の背番号として普及していった「22」だが、1998年に横浜を日本一に導いた“大魔神”
佐々木主浩の登場でクローザーの背番号としても浸透。系譜では捕手と救援投手の二
大勢力が拮抗している。
クローザーではメジャーでも活躍した好投手も目立つ。「22」にこだわったのが佐々木で、2月22日の2時22分に誕生するなど、2という数字に不思議と縁があったことから、自ら希望したという。同時期にクローザーとして「22」を着けていたのが
ヤクルトの
高津臣吾で、ともに新たなイメージを「22」に築いた立役者だ。
セットアッパーでは
日本ハムに
建山義紀がいた。そして、迎えた2019年も現役としてプレーを続けるのが、“火の玉ストレート”で真っ向勝負を繰り広げ、阪神で捕手の「22」を救援投手の背番号へと一新した藤川球児だ。どんな場面でも黙々とマウンドをさばくレジェンドの姿は、印象が薄れつつある救援投手の「22」に、さらなる深みを与えそうだ。
【12球団・主な歴代「22」】
巨人 藤本定義(監督)、
千葉茂、
小松原博喜、
島野修、
小林誠司☆
阪神
塚本博睦、
田宮謙次郎、田淵幸一、
木戸克彦、藤川球児☆
中日 遠藤忠二郎、
河合保彦、
星野仙一、
山崎武司、
大野雄大☆
オリックス 天保義夫、
種茂雅之、
小林宏、
伊藤光、
高城俊人☆(2018年シーズン途中~)
ソフトバンク 別所昭、
皆川睦男(睦雄)、
森口益光、
長冨浩志、
西田哲朗☆
日本ハム
鈴木圭一郎、種茂雅之、
田村藤夫、建山義紀、
鶴岡慎也☆
ロッテ 荒川博(博久)、田宮謙次郎、
榊親一、
里崎智也、
田村龍弘☆
DeNA 引地信之、清水透(宏悦)、佐々木主浩、
高崎健太郎、
熊原健人☆
西武 尾崎正司、
東田正義、田淵幸一、
野田浩輔、
中塚駿太☆
広島 川本徳三、
大石清、
水沼四郎、
高橋建、
中村奨成☆
ヤクルト
別部捷夫、
安田猛、高津臣吾、
増渕竜義、
蔵本治孝☆
楽天 愛敬尚史、
戸村健次☆
(☆は2019年)
藤川の阪神は強打の系譜だった

阪神・田淵幸一
一時代を築いたクローザーたちが次々に引退していく一方で、巨人の小林誠司、地元の広島からドラフト1位で指名されて2018年に入団した中村奨成ら、現役に若手の注目株もいて、近年は捕手の勢力が盛り返してきた印象だ。
阪神では田淵の前に田宮謙次郎がいて、田淵は好打者のナンバーを受け継いだとも言える。田宮は大毎へ移籍して「9」となったが、2年目の60年に「22」へ戻して日本一に貢献した。ただ、阪神では木戸克彦、ロッテでは里崎智也が継承して、捕手ナンバーの印象が強くなる。
田淵は移籍した西武でも「22」を着けたが、その西武でも
和田一浩、
中嶋聡がリレーする捕手ナンバーに。和田は外野手に転向して強打者に成長。また、中日の山崎武司もプロ入り時は捕手だった。
山崎の系譜をさかのぼると、若手時代の星野仙一がいる。先発タイプの投手では、南海に若手時代の別所昭(のち毅彦)や“最後の30勝投手”皆川睦男(睦雄)、ヤクルトには安田猛、近年では広島に高橋建、現役では中日の大野雄大がいる。西鉄の尾崎正司も投手だが、1勝も挙げられないまま外野手となり、のちにプロゴルファーへ転身して、尾崎将司と改名。“ジャンボ尾崎”の若き日の姿だ。
写真=BBM