4年前に創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。バックナンバーを抜粋し、紹介する連載を時々掲載しています。 甲子園では江夏豊が奇跡の試合を

サヨナラ弾でバンザイしてホームに向かう江夏
今回は『1973年9月17日号』。定価は100円。
ヤクルトの名物オーナー、松園尚巳は実は大の
巨人ファンとして知られ、「ウチが負けても巨人が優勝すればいい」と言っていたらしいが、その記事があった。
8月27日の巨人戦(神宮)、自宅のある神奈川県藤沢名物のまんじゅうを持ってナインを慰問した際、記者たちに対し、
「巨人に勝ってもらわないと困ります」
これだけでもあ然だったが、さらに
「セ・リーグの人気を盛り上げるには巨人が強くないと困る。そのためにヤクルトから一人、巨人にトレードしようとした」
と明かした。しかもそれが主力投手の
松岡弘、
安田猛、
浅野啓司のいずれかだったという。幸いこれは諸事情で実現しなかったらしいが、現場からしたら単なる失言のレベルを超えている。
だが、松園オーナーに言わせると、これも経営戦略なのだという。
「チームが勝ってもファンが喜ばなくては経営は成り立たない。大を生かし小を殺す。これが監督と経営者の考えの違うところです」
いやいや、松園さん、違うでしょ、と突っ込みたくなる言葉だ。
30日には甲子園球場で奇跡の試合があった。
阪神・
江夏豊と
中日・
松本幸行の投げ合いで0対0のまま延長11回まで進んだ試合だ。決めたのが投手の江夏豊のサヨナラ弾というのもすごいが、江夏は四球1、死球1の走者2人だけのノーヒットノーランでもあった。
江夏は「ノーヒットは分かっていたが、延長戦に入ったら参考記録かいな、ぐらいでそんなに深刻には考えてなかった。とにかく早くけりをつけたかった」と語った。
では、また。
<次回に続く>
写真=BBM