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清宮幸太郎は本塁打王より首位打者が近い? 他球団が「コンタクト能力」に注目

 

夏場から打撃が劇的に向上


今年こそ1年間、一軍で活躍し続けることを誓う清宮


 日本ハムのV奪回に向け、キーマンの一人になるのが清宮幸太郎だ。1月下旬の自主トレキャンプ中にコンディション不良で大分から帰京した際は心配の声が上がったが、春季キャンプでハツラツとした動きを見せて不安を払拭している。

 2月11日に沖縄・金武町で行われた楽天との練習試合では4打数4安打1打点の大暴れ。初回一死一塁で中前打を放つと、2回二死二塁では四球で出塁。4回一死で中前打、5回二死一塁で右前に運ぶと、7回一死満塁では右前に適時打と全打席出塁した。他球団のスコアラーは「差し込まれてもヒットゾーンに運べる技術を身に着けている。昨年の夏場から打撃が劇的に良くなりました。緩急で打撃フォームを崩されず、外角の球にきっちり対応している。ホームランバッターですけど、打率でもタイトルを狙える打者だと思います」と警戒を口にする。

マルティネスとの野球談議


 昨年はキャンプイン直前に左足首を負傷して戦線離脱。4月19日に一軍昇格したが、結果を残せず5月6日に登録抹消された。ファームで1カ月の調整期間を経て6月11日に再昇格した際もなかなか打撃の状態が上がらなかったが、ロッカーが近いアリエル・マルティネスと7月中旬に野球談義したことが、覚醒のきっかけになった。

「『なんか打ちにいくときにバットが一緒に付いていっているよね』みたいな話になって、ヒッチではないんですけど、大きくなくていいから、ちょっとだけ後ろに(バットを引く)というイメージで打っていて、それがハマっているかなと」

 体重移動を始める体と同時にバットが動き始めていたが、少し引くイメージで我慢するとボールを呼び込めるようになり、タイミングを合わせられるようになった。

「今までだと、そのままフーっていっている感じが……。“割れ”っちゃ“割れ”ですけど、どう表現するかはその人次第かなと思うんですけど、ちょっとそういうのができてきているのかな」

 7月以降は打率.330、15本塁打、46打点をマーク。規定打席には届かなかったが、89試合出場で打率.300をマークしたことは自信になっただろう。得点圏打率.394と勝負強さも光った。11月に開催されたプレミア12で、侍ジャパンのトップチームに追加招集で初選出された。

 課題だった守備も一塁、三塁をこなして安定感が上がっている。4安打をマークした11日の楽天戦では三塁で好守を見せ、翌12日は全体練習後に野村佑希と1時間の特守を行い、2人で50球連続捕球できるかというノックで一度もミスをしなかった。

11年目に初の首位打者


2022年に首位打者獲得と覚醒した松本


 日本ハムの直近で打撃タイトルを獲得した選手が、2022年に打率.347で自身初の首位打者に輝いた松本剛だ。一軍に定着できないシーズンが続いていたが、プロ11年目で大輪の花を咲かせた。松本は同年オフに週刊ベースボールのインタビューで、以下のように振り返っている。

「ボス(新庄剛志監督)はとにかく『思い切り行け』と言ってくれるので、本当にその言葉のとおりですね。僕はタイプ的に、思い切り行っていいときと慎重にならないといけないときを自分の中で使い分けているのですが、ボスが毎回『思い切り行っていい』と言ってくれるので、思い切りを捨てずに、『割り切り』を実行することも含めて、自分らしさをつくり出そうと思っていました」

「ボスが監督になって、みんながフレッシュな気持ちで臨んだシーズンだったと思います。その中でチームがこういう成績(リーグ6位)になったということは、選手たちも真摯(しんし)に受け止めなければならない。ボスも『今年1年はいろいろなことを試した』と言っていますし、その中で僕を含めて、自分はこういうことができて、こういうことができないということをチーム全体で考えながらオフシーズンに取り組んでいかなければなりません。そうすれば必ずチームは強くなると感じていますし、その中で僕が引っ張っていく立場になっていければと思っています」

 清宮も新庄監督が就任後にブレークした選手の一人だ。だが、能力の高さを考えるとまだまだ合格点は与えられない。シーズンを通じて中軸を担い、打撃タイトルに絡む数字が求められる。

写真=BBM
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