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メジャーの複数球団が熱視線 3つのポジション守る「巨人の強打者」は

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キャンプから順調な調整


巨人打線をけん引する岡本和


 日本人投手がアメリカに続々挑戦しているが、野手でもメジャーのスカウトから注目される選手がいる。オフにメジャー挑戦する可能性が高い村上宗隆(ヤクルト)と長距離砲で双璧をなす岡本和真(巨人)だ。

 昨秋にプレミア12に向けて選出された侍ジャパンを腰痛で辞退したが、患部に不安はない。2月の春季キャンプで調整な順調な仕上がりを見せ、今年初の実戦出場となった3月1日のヤクルトとのオープン戦(東京ドーム)で、3回に高橋奎二の内角低めのスライダーを左翼席中段に弾丸ライナーで運んだ。

 4年ぶりのリーグ優勝を飾った昨年は全143試合に先発し、打率.280、27本塁打、83打点をマーク。守備での貢献度も計り知れない。坂本勇人の三塁コンバートに伴い、一塁手でスタート。シーズン途中に坂本が打撃不振に陥った時期は三塁を守り、三塁に坂本、一塁に大城卓三を起用した際は左翼で出場した。今年の春季キャンプでは外野の守備練習を行っていたが、新外国人・キャベッジの一塁守備が不安定だったことから一塁で起用されることになった。メジャー・リーグの代理人を務める関係者はこう語る。

「チーム事情に合わせて一塁、三塁、左翼を守り、負担が大きかったと思います。昨年は7年連続30本塁打を達成できなかったですが、内外野の複数ポジションをこなせることはプラス要素です。大きな故障がなく試合に出続けていますし、メジャーの複数球団が岡本の動向をチェックしています」

当時の指揮官が抜擢した理由


 大ブレークしたのは高卒4年目の18年だった。前年まで計35試合出場と一軍に定着できなかったが、打率.309、33本塁打、100打点をマーク。22歳シーズンで「3割・30本塁打・100打点」達成はNPB史上最年少記録だった。岡本の才能を見出だして同年6月以降に四番で固定したのが、当時監督を務めていた高橋由伸氏だった。20年に週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っている。

「岡本の1年目の15年は私も選手として一緒にプレーしているわけですが、一軍で過ごした時間は少なかったものの、見ていて将来的に可能性の秘めた選手だな、と。バッティングの質、飛距離はそのころから目を見張るものがあり、この年のオフ、私はまだ現役を続ける予定でいましたから、岡本と自主トレを行うことにしていたんです。バッティングを私が見て、内野守備は井端(井端弘和。当時巨人。高橋監督下ではコーチに)に任せて。結局、そのまま私は引退をし、監督となるわけですが、どれくらい時間が掛かるかは分からないものの、岡本のような選手が出てこないと、ジャイアンツはチームとして苦しい時代が続くかもしれないな、と感じていました」

「厳しい言い方かもしれませんが、坂本の直後に入ってきた選手たちに期待しても、彼らはチャンスがある中でそれを生かせず、時間だけが過ぎていたわけですから、同じことの繰り返しになるかもしれない。であれば、直近で入ってきた選手に目を向けようということで、私の現役最終年にドラフト1位で入ってきていた岡本に、まだ何色にも染まっていないというところもあって、期待をしていました」 

まずは巨人の日本一へ


 その後の活躍は周知のとおりだ。本塁打王に3度、打点王に2度輝き、近い将来のメジャー挑戦がささやかれている中、岡本は「(メジャーは)昔からあこがれていた場所で、目標にしている場所でもある。毎年、毎年、ずっと上を目指してやっている。野球をしていたら、そんな目標はみんな持っていると思う。僕もそのひとり」と思いを明かしている。

 だが、海の向こうを渡る前に、果たさなければいけない目標がある。昨年はリーグ優勝を飾ったが、クライマックスシリーズ・ファイナルステージでDeNAに敗退。日本シリーズに進出できず、「最後、負けて終わるのはあっけないんだなって思いましたし、悔しかった」と喜びが半減した。「まずは来年、連覇っていうのをまずは目指して、その次に日本一なれるように頑張りたい」。入団以来味わったことがない頂点に向け、不動の四番の戦いが始まる。

写真=BBM

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