開幕戦でスタメン三塁の可能性

実戦で好調な打撃を見せている中山
野球人生のターニングポイントで、偉大な先輩から定位置を奪えるか。オープン戦で打率.306と好調を維持し、自身初の開幕スタメンが見えてきたのが
巨人の高卒5年目・
中山礼都だ。
出場機会に飢えている。今年は二塁、三塁、遊撃に加えて一塁の守備に挑戦。打撃でもアピールしている。メジャーとのプレシーズンゲーム2連戦では三塁でフル出場。15日のドジャース戦(東京ドーム)では3回にバットを折られながらも右翼に二塁打。16日のカブス戦(東京ドーム)でもマルチ安打と奮闘した。三塁のレギュラーは
坂本勇人だが、確定しているとは言えない。メジャー球団と対戦した2連戦を欠場し、16日は試合前の打撃練習も行わなかった。長いシーズンを考えると、コンデイションに考慮して無理をさせる必要がない。中山が三塁で開幕戦に出場する可能性は十分にある。
他球団の首脳陣は中山について、こう語る。
「オープン戦の打撃を見ると、若手の中で一番バットが振れている。昨年の終盤から打球に力強さが出てきましたよね。打撃だけで言えば十分にレギュラー級だと思います。守備も決して下手ではないですし、一気に頭角を現すことも考えられます」
悔しい思いはもうしたくない。坂本が遊撃を守っていた22年に故障で離脱した際、遊撃で出場機会をつかんだのが高卒2年目の中山だった。「坂本の後継者」と目されていたが、翌23年に大卒ルーキーの
門脇誠が台頭。シーズン終盤に遊撃の定位置をつかみ、坂本が三塁にコンバートされた。
中山は攻守で定位置を奪取する水準に達していなかったが、経験を積み重ねて成長している。昨年は8月以降に打撃での貢献度が光り、32試合出場で打率.318をマーク。
DeNAと対戦したクライマックスシリーズでは、左肋骨を痛めて欠場した
吉川尚輝に代わって先発出場し、第5戦(東京ドーム)で0対0の5回にプロ初アーチとなる決勝ソロを右翼に叩きこんだ。
大卒ルーキーと同学年
巨人の内野陣を見ると、レギュラーが固まっているわけではない。坂本は昨年三塁で自身初のゴールデン・グラブ賞を受賞したが、109試合出場で打率.238、7本塁打、34打点と打撃の調子が上がってこなかった。遊撃を守る門脇誠も満足できる数字とは言えない。春先は攻守に精彩を欠き、夏場以降に復調したが129試合出場で打率.243、0本塁打、21打点。今年は定位置が確約された立場ではない。
中山は高卒5年目を迎え、大卒ルーキーと同学年になる。
宗山塁(
楽天)、
金丸夢斗(
中日)、
西川史礁(
ロッテ)、
中村優斗(
ヤクルト)ら1位指名された選手たちを筆頭に今年の新人は即戦力と期待される逸材が多い。巨人もドラフト2位で俊足が武器の遊撃手・
浦田俊輔が九産大から入団してきたが、負けられない。プロで4年間やってきた意地がある。
世代のトップランナー

高校時代のチームメートである中日の右腕・高橋
中京大中京高の同学年でプライベートでも親交が深い同期入団の
高橋宏斗(中日)は、世代のトップランナーになっている。23年のWBCで侍ジャパンのメンバーとして世界一に貢献すると、昨年は21試合登板で12勝4敗、防御率1.38をマークし、最優秀防御率のタイトルを獲得。プレミア12で侍ジャパンのメンバーに選出された際は、「やっぱりユニフォームに袖を通したときに、やらないといけない責任や重圧をあらためて感じました。今のところ体の状態も良いですし、合宿初日からいろいろな選手とも話ができて、すごく良い交流ができています。いろいろな人からいろいろなものを盗みたいと思っています」と口に。
さらに「チーム最年少ではありますけど、グラウンドに立てば年齢も関係ないのかなと思いますし、引っ張っていくとまではいかないかもしれないですが、自分がやるべきことをやっていきたい。そして井端(
井端弘和)監督からは『選手は世界一になることだけを考えてくれればいい』と言われたのが印象的でした。あらためて大会連覇をしなければいけないなという気持ちです」と語っていた。
発奮材料はたくさんある。今年はチャンスをつかみ、大きく飛躍できるか。中山の大きな挑戦が始まる。
写真=BBM