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【大学野球】東大初の野手ドラフト指名を狙う酒井捷 明大戦でドラフト候補から結果を出せば高まる評価

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開幕7打席目で「H」ランプ


今季初安打が適時打。一塁ベース上では雄叫びを上げた[写真=田中慎一郎]


【4月14日】東京六大学リーグ戦
早大13-3東大(早大2勝)

 開幕7打席目にして、ようやく「H」ランプを灯した。1対5で迎えた5回表の東大の攻撃。先発2試合目の九番・樋口航介(2年・海城高)の適時打で1点をかえすと、なおも、一死一、三塁から一番・酒井捷(4年・仙台二高)が中前タイムリーで2点差とした。

 東大は6回以降、失点を重ね、連敗を喫したが、不動のトップバッターが結果を残したのは、2カード目以降に明るい材料となった。

 酒井は大学卒業後のプロ入りを志望している。東大は過去に6人のプロ野球選手を輩出しているが、すべて投手としての入団(中日井手峻はプロ入り後に野手転向)。酒井は初の野手としてのドラフト指名を目指している。

 2年春にレギュラーを奪取すると、2年秋に打率.316でベストナインを初受賞。12月には大学日本代表候補強化合宿(愛媛・松山)に招集された。さらなる飛躍が期待された3年春だったが、シーズン前のキャンプ中に右膝を痛め、1シーズンを棒に振った。復帰した秋は、本人は言い訳にしなかったが、打率.182と少なからずブランクの影響があったようだ。

 冬場は打撃フォームを見直した。昨年11月の新チーム結成以降、荒井幸雄氏と栗山彰恭氏が、打撃部門の外部コーチに就任。熱血指導を受け、とことんバットを振り込んできた。

 4月12日の開幕日。試合前の打撃練習で、酒井は充実の表情を見せていた。練習を積んできたという自信がみなぎっていたのである。

 東大・大久保裕監督は言う。

「オープン戦では1試合1本はヒットが出ていました。昨秋は引っ掛け気味で、手が出ず見逃し三振のケースも多かったんですが、一冬で改善されました。好調のバロメーターである一、二塁間を抜ける速い打球、角度が上がれば右中間、左中間への長打も出てきた」

一番で起用する理由


バットコントロールの良さが持ち味。タイムリーを放った打席では、バットを折りながらも気迫で中前まで運んだ[写真=田中慎一郎]


 一番に起用する理由を、大久保監督は「最も打席が回ってきますし、先頭・酒井が出れば、足も使えますし(50メートル走6秒0)、得点が入る可能性も高まってくる」と明かす。

 東大の野手として、初のプロ入りを目指すことについてはこう言及する。

「これまでも投手は可能性があったと思いますが、野手はやはり、打撃が求められる。あとは守備、走塁など何か光ったものがないと難しいかと。酒井の場合は走攻守のバランスで評価される選手。特に足は2年生12月の代表候補強化合宿の計測(50メートル走)でも3番目だったと聞いています。春のリーグ戦でひとまず、一つの評価が出ると思いますが、打率3割は打ってほしいです」

 4月19日からは、明大戦が控える。明大には毛利海大(福岡大大濠高)、高須大雅(静岡高)、大川慈英(常総学院高)、菱川一輝(花巻東高)、久野悠斗(報徳学園高)とプロ志望の5投手が控える。ドラフト候補のピッチャーから結果を出せば、一気に評価も高まってくる。酒井の左打席から目が離せない。

文=岡本朋祐

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