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大きな試練乗り越えて大ブレークか 村上、清宮と同世代の「甲子園のスター」は

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リーグ2位の二塁打、盗塁


今季は開幕からシャープな打撃を見せている西川


 混戦のパリーグを盛り上げているのが、昨年最下位に低迷した西武だ。5月6日のソフトバンク戦(ベルーナ)は0対10と大敗を喫し、勝率5割に逆戻りしたが、今年は反発力がある。開幕4連敗を喫したがその後に立て直して貯金を3まで増やした。攻守の中心選手として不可欠な存在になっているのが、プロ8年目の西川愛也だ。

 開幕から二番で起用されていたが、4月中旬以降は一番に定着。リードオフマンとして、試合のスタートから打線を勢いづけている。4月27日のオリックス戦(ベルーナ)から初回の第1打席で7試合連続安打をマーク。今季は第1打席の打率が27打数15安打で打率.555、出塁率.600と驚異的な数字をたたき出している。バットコントロールの巧さに加え、パンチ力もある。10本の二塁打はリーグ2位。俊足を誇り、9盗塁も小深田大翔(楽天)に次ぐ数字だ。

プロ3年目に内野から外野へ


 村上宗隆(ヤクルト)、清宮幸太郎(日本ハム)と同学年で、アマチュア時代は世代のトップランナーだった。花咲徳栄高では甲子園に3度出場。高校通算31本塁打を記録するなど中心選手として活躍し、3年夏は埼玉県勢初の全国制覇を飾った。ドラフト2位で西武に入団し、将来の中心選手として期待されたが、その道のりは険しかった。高2のときに大胸筋断裂のケガを負ったため、入団してリハビリスタートに。プロ3年目に内野から外野に転向した。西川は週刊ベースボールのインタビューで当時をこう振り返っている。

「(高校時代に負った)大胸筋断裂のケガ次第だとは思っていましたが、1年目の最初に結構打てて、あとは投げるだけの状態だったので、『早く投げられるようになりたい』と思っていました。2年目にやっと守備に就けるようになって、9月に月間MVPを獲って『いよいよ来年は一軍に行こう!』と思っていて。で、3年目は一軍で3試合。自分の中では3年目ぐらいから活躍できるかなと思っていたのですが、なかなか。そんなにうまくいかなかったですね」

「プロの打球って、アマチュアとはまったく違うんです! 想像もできない動き方や切れ方をするので、めちゃくちゃ難しくて。冗談じゃなくて、フライがまったく捕れませんでした。ノックでも本当に捕れない。(転向)1年目なんて、試合で一度もフライが捕れませんでしたから。全部落としたり、届かなかったり、飛び込んだり。それを、コーチの方や愛斗さん、キムさん(木村文紀現三軍野手コーチ)が、本当に親身になって、いろいろ教えてくれたおかげで、ここまで成長できました」

アグレッシブなプレースタイル


 外野の守備能力の高さは評価が高く、後方の打球で幾度も好捕してチームを救っている。ただ、打力でアピールしなければ一軍の定位置をつかめない。西川は大きな試練を味わう。21年から3年間にわたって一軍で安打が出ない。23年4月30日の楽天戦(ベルーナ)で、NPB野手ワースト記録の62打席連続無安打を更新したが、同日の第4打席で中前打を放って長いトンネルを抜け出した。

 昨年は自己最多の104試合出場で打率.227、6本塁打、31打点の成績を残したが、満足感はない。球団ワーストの91敗で最下位に低迷したこともあり、「レギュラーと呼べる数字ではない」と悔しさをにじませていたが、今年は成長の跡が見える。球団OBで野球評論家の伊原春樹氏は以下のように評価している。

「昨年までは内角のストレートに対して振り負けていたが、今年はしっかりとはじき返している。パワーがつき、技術も高まっているのが見て取れる。走力も高く、盗塁を仕掛けることができる。開幕から二番でスタメン出場を続け、4月13日の日本ハム戦(エスコンF)では一番に入ったが、西口監督には我慢して使い続けてもらいたい。西川は外野守備も抜群だ。打球判断が非常に良く、守備範囲が広い。打球にチャージすることを恐れず、アグレッシブなプレースタイルは投手を勇気づけるだろう。スターになる資質を持つ存在だと思う」

 甘いマスクで女性人気も高い。大ブレークの予感を漂わせるスピードスターに、要注目だ。

写真=BBM

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