第3回WBCで準決勝敗退に終わった侍ジャパン。それからわずか半年で小久保裕紀新監督が就任し新生・侍ジャパンが発足。4年後の覇権奪回を目指すとともに侍ジャパントップチームを軸としたプロ・アマ融合の7世代の侍ジャパンも結成された。その柱である小久保ジャパンが初遠征を行いチャイニーズ・タイペイ戦に臨んだ。日本球界の新しい時代を築く小久保ジャパンが、いよいよ船出した 侍ジャパンGAMEハイライト第1戦 ◎11月8日(金)新荘球場 観衆7,277人
(侍)小川-○大野-井納-S益田
(チ)王躍霖-●羅國華-羅華韋-
鄭凱文-陳敏賜-羅嘉仁
[本]なし
基本に立ち返る 小久保ジャパン、逆転で初陣飾る 新星・侍ジャパンの初陣、序盤にもたつきをみせたものの、この日ばかりは勝利を収めたことに意味がある。「迷ったら基本に立ち返ろう」。試合前、小久保裕紀監督が選手に訴えかけた言葉だ。これは国際経験の少ない若き侍たちにとって、最も明快で適切な指示だったのではないか。そんな指揮官の言葉に選手たちは5、6回に応える。
まずは1点ビハインドで迎えた5回、先頭の五番・
浅村栄斗が初球を二塁打で出塁すると、続く六番・
秋山翔吾も初球を引っ張り一塁線を破る連続二塁打、2球で同点に。一見すると所属する
西武の“オラオラ野球”に映るが、秋山の打席は「右方向に打てるボールが来たら振っていこう」と進塁打を意識した結果。また、指揮官が「今日のポイント」と挙げたのは、6回、三走・
銀次の走塁だ。
無死一、三塁、浅村の投ゴロで三本間に挟まれたが、2人の走者が二、三塁に進塁するまで粘り、
平田良介の適時二塁打などの2得点につなげた。進塁打、そして好走塁。日本らしく基本に忠実にプレーしての勝利だったと言える。

▲小久保ジャパンの船出となったチャイニーズ・タイペイ戦との第1戦は先発・小川が先制を許したが、5回に逆転。6回にも2点を追加し新生・侍ジャパンの初陣を飾った

▲新生・侍ジャパンの大事な第1 戦の先発を任されたセ・リーグ最多勝の小川。2回に1点を許すも4回を8奪三振の好投で、存在感を示した

▲6回に3点目を奪った後、二死三塁から代打で出場の平田がライトオーバーの二塁打を放ち4点目。若手中心のメンバー構成で全員野球を見せ、チャイニーズ・タイペイを退けた
侍ジャパンGAMEハイライト第2戦 ◎11月8日(金)新荘球場 観衆9,752人
(チ)●倪福德-陳禹勲-林逸翔-張賢智-謝榮豪
(侍)野村-○大瀬良-松田-高木-S松永
[本]
陽岱鋼①(1回=野村)
プロが打ち、アマで勝つ 新たなビジョンを象徴する勝利 プランニングが成されているため、現状、侍ジャパンの継投に手腕をうかがうことはできない。しかし、勝利を呼び込む
広島ドラ1リレーは見応えがあった。
先発・
野村祐輔は初回、三番・陽岱鋼に先制のソロを許し、スタジアムの熱狂を招いたが、ここから冷静な投球を見せる。被弾を反省、丁寧に低めを突く投球で、4回を5三振。「外国と当たっても通用することが分かったのが収穫」と代表初登板に手応えを得て、来季からの後輩へバトンをつないだ。
広島に1位指名されたばかりの
大瀬良大地はプロ初登板よりも先の侍デビュー。6回には先頭に二塁打を許すなど二死一、三塁から打者にフルカウントまで粘られたが、最後は縦に落ちるカットボールで空振り三振。小久保監督を「フルカウントからあそこに投げられるんだから」とうならせた。
打線が2回に4点を挙げており、まだ大学生の大瀬良に侍初白星で「大きな舞台で投げさせていただいて良かった」。世代間のカベを無くし、新たな一歩を踏み出した侍ジャパンにとって、プロ・アマ融合で手にした意味のある1勝だった。

▲5回から2イニングを無失点に抑えた広島ドラ1の大瀬良が第2戦の勝利投手に。プロ・アマ融合の第1歩として選ばれたアマ選手たちが躍動。小久保監督にとってもうれしい1勝となった

▲今年ブレークしたDeNA・梶谷が2回、逆転後に2点三塁打を放つ。4年後を見据えてのメンバー構成も実力ある選手たちがそろっており、一度打線に火がつけば止められないところも見せつけた